赤い公園「透明なのか黒なのか」(EMI Music Japan)

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赤い公園.jpg  めくるめく変化 (へんげ)ワールドを展開する赤い公園。赤い公園は佐藤千明、津野米咲、藤本ひかり、歌川菜穂による4人組バンドである。2010年に結成され、その後は神聖かまってちゃんが手がける《謎の日》に出演するなどして瞬く間に注目を集め、ファースト・デモ「はじめまして」、ファースト・ミニ・アルバム「ブレーメンとあるく」をリリースし、本作「透明なのか黒なのか」で晴れてメジャー・デビューというわけだが、本作に初めて触れたとき、興奮に包まれると同時に言葉を失ってしまった。

 瞬間芸を連続して繰りだすような展開、聴き手を驚かせることに執心するサービス精神、そしてなにより、整然とされた混沌。ヘヴィ・メタル、ノイズ、ロック、さらには歌謡曲的メロディーや変則ビートなど数えきれない音楽的要素に加え、演劇的世界観も窺える。

 演劇的世界観に関しては、佐藤千明のヴォーカルによるところが大きいのではないか。曲自体がそれぞれ強固な世界観を持っているのもそうだが、それ以上に、佐藤千明のまるで女優の如く変化するヴォーカル・スタイル。佐藤千明のヴォーカルは、"歌う"というよりは"演じる"と言ったほうがしっくりくる。そう言いたくなるほど、佐藤千明のヴォーカルは多様な感覚を携えており、聴き手を楽しませてくれる。

 本作に収録されている曲群は、佐藤千明が作詞した「副流煙」以外は津野米咲が作詞作曲を務めているが、その津野米咲のイメージを具現化する他の3人も含め、4人の間では一体どんな風景が共有されているのか? カオスな洗練と如何わしさを感じさせる本作は、聴き手の好奇心をどんどん掻き立ててくれる。

 

(近藤真弥)

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