CLOUD NOTHINGS『Attack On Memory』(Wichita / Carpark / Hostess)

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CLOUDNOTHINGS.jpg 6月のHostess Club Weekenderにも出演が決定したクラウド・ナッシングスは今年の2月に最新作を発表している(それでわたしが今頃レビューを書いているというわけだ)。

  これまではグローファイ/チルウェイヴっぽいサウンド加工がまるで男版『ヴァージン・スーサイズ』のようなナイーヴさを醸し出していたが(それはそれで好きだった)、今作は新世代のオルタナティヴに果敢に挑戦している。1stシングルになった「No Future, No Past」は、その単調にして聴いている側が段々と追いこまれていくような曲の構成に、おっさんが目に見えぬ力で引きずられながら最後には宙に浮いてしまう、という不気味すぎる内容のPVが完璧にマッチしていて、彼らの新章への突入を十分に感じさせてくれた。2000年代にシアトルからいくつかの優れたハードコア・バンド(一番好きだったのはケイヴ・イン)が登場したが、その乾いた空気感に共通するものがクラウド・ナッシングスの新作にもある。これこそまさにティーンが聴くべきオルタナティヴ・ミュージックだ。

 つい最近シングル・カットされた"役立たずでいられる時間が欲しい"と叫ぶ「Stay Useless」はストロークス風の爽快なショート・ナンバー。かたやアルバム2曲目の「Wasted Days」は8分を超える大作。そんなアルバムはわずか9曲で幕を閉じる。こういうところがとても今っぽいというか、過剰になることはぜったいに避ける。だってポップという共通項を失ったバンドにはそんなに大した未来なんて用意されていないことが分かりきっているから。アメリカのこういうバンド、どんだけスマートなんだ。曲は粒揃い。じつはシーンにとってポイントになるアルバムだと思うので、ライヴで観るか、それができない方は「Stay Useless」だけでも聴いてほしい。時代の気分は確実に変わってきている。

 

(長畑宏明)

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