22-20S

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22-20S

僕らもブルースによってもたらされる
豊かで長い音楽の伝統に連なりたいと思う


00年代初頭、ホワイト・ストライプスやストロークスを筆頭に"ガレージ・ロック・リヴァイバル"と呼ばれるムーヴメントが、新たな音楽シーンの到来を告げていた。その中で、当時まだ20歳そこそこという若さながら、ブルースを血肉化したデビュー・アルバムで颯爽と登場した22-20s。でも、その後の歩みは決して順風満帆といえるものではなかった。このインタビューでも語られているとおり、「ブルース・バンド」というレッテルを貼られることへの葛藤と疲弊から、バンドは2006年に解散してしまう。

けれども、22-20sのストーリーはそこで終わらない。解散から4年後、音楽への情熱を再び取り戻した彼らは前作にあたる2ndアルバム『Shake / Shiver / Moan』で見事に復活を遂げる。よりメロディアスに、よりカラフルに鳴らされるサウンドは、「ブルース・バンド」という枠に収まりきらないギター・バンドとしての可能性を感じさせた。そして、いよいよ3rdアルバム『Got It If You Want It』が完成! ブルースが好きな人なら、このタイトルにピンと来るはず。まずは新曲「Pocketful Of Fire」のストリーミングをチェックして欲しい。自信に満ちあふれたラウドなリフと表現力を増したマーティンの歌声。そう、22-20sはこの3rdアルバムで、かつて自分たちを解散にまで追いやった「ブルース」という音楽に、もう一度向き合っている。

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まず初めに、ニュー・アルバムの完成おめでとうございます! 『Got It If You Want It』というタイトルは挑戦的でカッコいいですね。僕は、あなた達が大好きなローリング・ストーンズの『Got Live If You Want It』と、そのタイトルにインスピレーションを与えたスリム・ハーポ(Slim Harpo、50年代後半から60年代にかけて活躍したブルース・シンガー/ハーモニカ・プレーヤー。ストーンズをはじめ、キンクスやヤードバーズなどに多大な影響を与えた)の「Got Love If You Want It」を思い出しました。今回のアルバム・タイトルには、どのような思いが込められているのでしょうか?

マーティン・トリンブル(以下M):うん、タイトルについてみんなで話してた時に...。レコーディングが終わって、一応形にはなったんだけど、もともとアルバムには一つのテーマがあるわけじゃなかったから、タイトルが決まらなくて。その頃、僕がたまたまスリム・ハーポの「Got Love If You Want It」を聴いていて、なんかピンときた。意味は特にないんだけど、そこから『Got It If You Want It』っていうフレーズが浮かんできたんだ。

今やブルース・ロックの大名盤とも言える1stアルバム、ギター・バンドとしての可能性に挑戦した2ndアルバム、どちらも僕は大好きです。そして「次のアルバムはどうなるのかな?」と楽しみにしていました。いま、1stアルバムと2ndアルバムを振り返ってみると、どんな気持ちですか?

M:1stの時は、僕らが夢中になってた音楽をそのままやろうとしてた。いま聴いても好きな曲はもちろんあるんだけど、それから「ブルース・バンド」っていうレッテルを貼られて、それがハイプになっていくうちに、バンドを疲弊させてしまった側面があったわけだよね。1stによって、22-20sが表現しようとしていたことが、とても狭い意味で決められてしまった。
 だからこそ、2ndを作る時には、僕らはギター・バンドとして自分たちに何ができるのか、いろいろトライしてみたわけだけど、いま思うと、ちょっとそれにとらわれすぎてた感じもあるな、正直に言って。そこにこだわるあまり、自分たちの身の丈に合わないこともやろうとしてた気がする。

『Got It If You Want It』はブルースに回帰しながらも、2ndでの幅広い音楽性もバランスよくハイブリッドされているように感じます。新作をレコーディングするにあたって、サウンド面で特に意識したことは何ですか?

M:いや、実は僕はサウンドの細かいところは全然わからないから、そこはプロデューサーのイアン(・ダヴェンポート)に全部任せたんだ(笑)。前回一緒にやって、お互いかなり通じ合ってたしね。最初に僕らが「削ぎ落とした生々しいサウンド、4人のライヴ感が欲しいんだ」って言ったら、すぐにイアンもわかってくれた。
 前回のレコーディングはそれぞれのパートを別に録ったり、テイクを重ねることも多かったんだけど、今回は大体が4人でレコーディングして、そこに後からヴォーカルを足したり、ちょっとパートを足すくらいだったんだよね。

イアンからはどんなアドヴァイスを受けましたか? 印象的なエピソードがあったら、聞かせてください。

M:最初から彼とまたやろうと思ってたからね。サウンドに関しては本当に信頼出来るし、彼がバンド・オブ・スカルズでやった仕事もいいと思ったし。あと、アドヴァイスっていうんじゃないけど、イアンとはストロークスの2ndを一緒に聴いたんだ。で、「ギターの音はこういう感じでやろう」って話して。あのガッと出てくる感じが欲しくてね!

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オープニングを飾る「Bring It Home」という曲名とサウンドが、このアルバムを象徴しているように感じました。「Bring It Home」では、どのようなことが歌われているのでしょうか?

M:あの曲は具体的というより、普遍的で曖昧な歌詞になってると思う。だからいろんな風に読み取れるんだけど、『Bring It Home=故郷に持ち帰れ』ってことじゃなくて、『You Don't Bring It Home=持ち帰るな』って言ってるんだよね。僕らの場合は、孤独感や何かしら重荷になってるようなフィーリングが曲を書く時に浮かび上がってくるんだけど、そうした苦いフィーリングがこもってる曲なんじゃないかな(注:「Bring It Home (To)」という慣用句には、"強く思い知る/知らせる、腑に落ちる、痛感する"という意味もある。《You Don't Bring It Home To Me》と歌われるこの曲は《納得できない》とも解釈できる)。

今作の日本盤のボーナス・ディスクには、何曲かアコースティック・デモも収録されています。特に「Purple Heart」のデモとアルバムでのバージョンを聞き比べてみて、とても感動しました! デモにあった素朴で優しいフィーリングがバンド・バージョンでは、さらにダイナミックに伝わってきます。今回の曲作りとデモの制作は、ミネアポリスで行われたそうですね。なぜ、ミネアポリスだったのでしょうか? 歌詞やサウンドへのインスピレーションはありましたか?

M:それが一番リーズナブルだったから(笑)。まず、ジェームズ(・アーヴィング/Dr)が恋人と暮らすためにミネアポリスに引っ越したんだ。今は僕もミネアポリスにいるんだけど、ここで家を借りるとかなり安いことがわかって。で、グレン(・バータップ/B)とダン(・ヘア/G)も呼んで、4人で冬の間6週間、一軒家にこもって曲を書いた。真冬には気温がマイナス30度くらいになるんだよ(笑)。
 だから他になんにもやることがないし、地下室に機材を持ち込んで、そこでやってたから、本当に隔絶された状態だった。まったく外を見ないような日もあったしね。それには影響を受けてるだろうな。外のことはまったく気にせず、今どんな音楽が流行ってるかもまったく知らず、自分たちの小さい世界にこもりきってた(笑)。

ブルースは22-20sにとって、どのような存在ですか? 今までの人生や音楽にどのような影響を与えてきましたか?

M:ブルースだけじゃなく、アメリカにはブラック・アメリカン・ミュージックの豊かで長い伝統があって、本当に素晴らしいものを生み出してきている。その一方で、イギリスにはそういうアメリカの音楽を取り込んで、よりグルーヴにフォーカスした音楽を生み出す伝統があるんだよね。ストーンズだけじゃなくて、ビートルズさえそういうことをやって、それがまたアメリカに輸出されていった。僕らはブルースによって、自分達もそういう伝統に連なりたい、と常に思わされてきたんだ。

一度、解散を経験しながらも再びこうして活動を続けるあなたたちの姿に、多くの日本のファンが勇気づけられています。これから22-20sとして成し遂げたいことは何ですか?

M:今はまた新しい曲を書いてるところなんだ。このアルバムとはまた違う感じになってるから、とりあえずの目標としては今年中に次のアルバムを完成させたいと思ってる。後は、ライヴをやって、本当に活動を続けていくことだけだね。バンドとして成長するにはそれしかないと思う。

最後に、クッキーシーンの読者にメッセージをお願いします!

M:5月に日本でツアーをすることが決まってるんだ。日本に行くのが待ち切れないよ。今新曲をリハーサルしてるところなんだけど、前よりずっと本能的な、お腹の底で感じるようなライヴになると思うし、そうしたい。きっと、グッとくるよ(笑)。

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 マーティンがしっかり宣伝してくれているとおり、5月に東京と大阪でのライヴが決定している。さらにはアルバムを購入したファンに向けてタワーレコード新宿店でサイン会&握手会も開催されるとのこと(詳細はこちらを参照)。復活後にツアーを重ねてさらに強まったバンドの結束、そしてブルースへの回帰。1stと2ndを経た今だからこそ、絶対に見逃せないライヴになると思う。ブラック・ミュージックに導かれて再び始まった音楽の旅はこれからも続く。『Got It If You Want It』。22-20sは自分たちがそう望んで、"It=ブルース"を取り戻した。グッとくるよ。

2012年2月
質問作成、文/犬飼一郎


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22-20S
『ゴット・イット・イフ・ユー・ウォント・イット』
(Yoshimoto R And C)

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