X-PRESS 2『The House Of X-Press 2』(Skint / Octave Lab)

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X-PRESS 2.jpg 「アシッド・ハウスのスピリット、ここで一言でいうのは難しいが、あえて言うならウェイ・オブ・ライフ、生き方なのだ」

 上記の一文は、エクスプレス2にとって最初のアルバム『Muzikizum』のライナー・ノーツから引用させてもらった(執筆は久保憲司さんです)。

 ここでクボケンさんは「生き方」と表現しているが、僕はちょっとニュアンスを変えて"精神"と表したい。そして、エクスプレス2の"精神"とは、言うまでもなくセカンド・サマー・オブ・ラブだ。とはいえ、当時を懐かしみ説教するわけじゃないし、むしろ筆者は懐古主義、例えば、80年代末~90年代前半のダンス・クラシックを次々と繰りだし、当時の雰囲気を再現しただけのパーティーには怒りすら覚える。これらの多くは、"バレアリック(なんでもあり)で最先端の音楽を鳴らしつづける"というセカンド・サマー・オブ・ラブの精神を理解できていない(特に音楽的な部分に関して)。

 その点、オリジナルとしては『Makeshift Feelgood』以来約6年振りとなるアルバム『The House Of X-Press 2』をリリースしたエクスプレス2は、ちゃんと精神を理解し引き継いでいる。アート・ワークやアルバム・タイトルからもわかるように、バック・トゥー・ルーツを意識したハウス・ミュージックが本作を占めているが、スエノ・ラティーノ「Sueno Latino」を引用した「This Is War」や、トライバルな「Opulence」「Get On You」、セクシーなヴォーカルが印象的な「Let Love Decide」など、節々でハウス愛が迸る濃厚なダンス・ミュージック・アルバムとなっている。

 元ザ・ミュージックのロブ・ハーヴェイをフィーチャーした「The Blast」、ジェームズ・ユールが参加したアンセム「Time」といったトラックも秀逸なポップ・ソングとして楽しめるが、エクスプレス2の凄さが一番わかりやすく出ているのは、"ハマる"タイプのトラックが揃う「Frayed Of The Light」以降の流れ。特に「Frayed Of The Light」「Lost The Feelin'」「Million Miles Away」は、シカゴ・ハウスと90年代前半のUSハウス、そして最新ダンス・プロダクションを巧みに融合したトラックに仕上がっている。

 2009年にアシュレイ・ビードルが脱退し、ロッキー/ディーゼルのデュオとなったエクスプレス2だが、だからこそ、自分達のルーツに立ちかえり、バイタリティーあふれるトラックを生みだせる。こういったタフな一面も、セカンド・サマー・オブ・ラブの精神を正当に継承しているからこそだ。

 

(近藤真弥)

 

 

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