マッドエッグ

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MADEGG

イマジネーションを沸き起こしてくれる一瞬一瞬を
大切にしたいと思っていて


2011年も、たくさんの素晴らしい音楽が生まれた。そんな2011年において、最大の発見の1人と言える人物に話を訊いた。その人物とは、マッドエッグだ。彼の音楽に出会ったのは、"分解系"からリリースされた『Players』。この作品に収録されたドリーミーな電子音の虜となってしまった僕は、クッキーシーンでも何度かレビューを書くことになるわけだが、書いているうちに、マッドエッグ自身に訊いてみたいことがいろいろと思い浮かんできた。今回のメール・インタビューで、そのすべてが訊けたわけではないが、高知の田舎で走り回って育ったエピソードなど、非常に興味深い話が聞けたと思う。少々前フリが長すぎたかな? ではでは、ブレインフィーダー(Brainfeeder)のイベントに前座として出演するなど、今後の活躍が期待されるマッドエッグのメール・インタビューです。どうぞ!

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まず、先日ブレインフィーダーのイベントに前座として出演された件についてです。僕はこのニュースを聞いたときビックリしたんですが、どういった経緯で決まったんですか?

マッドエッグ(以下M):まず僕が一番驚きましたね(笑)。イベント当日の朝にツイッター見てたらDMが来てて、誰からだろうと見てみたらZETTAI-MU(イベント企画・制作・運営と、マルチな活動をしている会社。レーベルとしても、スミス&マイティーのロブ・スミスによるソロ・プロジェクトRSDのアルバムをリリース予定)さんからで、それが出演依頼でした。僕としてはその日は普通に客として行くつもりだったし、願っても無い事だったので、すぐ返事を返しました。

ブレインフィーダーのイベントに出て、刺激は受けましたか?

M:それはもう受けまくりでした。ブレインフィーダー・クルーが車から降りてきた瞬間から、俺この人達の前座なんだ...って一気に実感が湧いてきて、ほとんど彼らには話かけられなかったです(笑)。ライブはみんな凄くて、ティーブスとオースティン(・ペラルタ)とサンダーキャットのセッションには食らいましたね。LA(ロサンゼルス)の自由な音楽の空気を生で吸えた気がして...。なかでもマーティンは別格だったと思います。みんな楽屋では凄く気さくでそのギャップもまたカッコ良かったです。

ではここから、マッドエッグさんについて訊いていきます。音楽を作り始めたのは、いつ頃からですか?

M:初めてDTMで曲を作ったのは高1の夏で15歳のときです。もう4年も前ですね。

自分で音楽を作ろうと思ったキッカケは?

M:当時エレクトロニカばかり聴いてて、単純に自分でも作ってみようって思ったからです。

音楽を作るうえで、影響を受けているアーティストはいますか?

M:僕は本当にリスナーとしては雑食だと思うので、特定のアーティストを挙げるのは難しいですね。フォー・テット、ティーブス、ダスティン・ウォング、ルキッド、ピル・ワンダーとかいっぱいいます。

そのアーティストのどこに影響を受けたんですか?

M:僕は音圧とかに特にこだわりは無くて、昔の思い出だったり神秘的な雰囲気だったり、イマジネーションを沸き起こしてくれる一瞬一瞬を大切にしたいと思っていて、そういう方向性については濃く影響受けてると思います。

曲を作るうえで心がけていることは?

M:自分が好きな曲を作る事です。

音楽制作をする際の使用機材は? できれば、その機材を使っている理由も教えてください。

M:僕が使ってるのはAbleton Live 8のLite版だけです。だからMacBook一台で作ってます。理由は他の機材を買うお金がないからです(笑)。でもとにかく場所を選ばず曲を作れるので便利です。

1112_madegg_A2.jpg僕は『Players』でマッドエッグさんの音楽に出会ったのですが、エクスペリメンタルな電子音を特徴とした、"音のアーティスト"だと思っていたんです。でも、『Players』以降のリリースでは、ブレインフィーダー周辺のビート・ミュージックの要素がさらに強調され、"ビート"がより前面に出ているように思うのですが、どうでしょうか?

M:確かにそうですね。昨年から今年にかけて面白いビートがいっぱい出てきて、僕自身触発されてたこと、あとヒップホップにかなりはまった事が大きいと思います。世界には若くて知られてなくてもネットを介して面白いビートをどんどん発信してるビートメイカーがたくさん居て、彼らとどうにか繋がりたいっていう気持ちもありましたね。

また、マッドエッグさんの音楽には、セオ・パリッシュやムーディー・マンを彷彿とさせる"黒さ"があったりもします。2.5Dのライブでも、その"黒さ"が色濃く出ていましたが、これは自然に出てしまうものなのでしょうか?

M:それは僕も言われて気づいたというか...気づかされた事かもしれません。"黒さ"を出そうとしているつもりはあまり無いです。多分サンプリングするネタだったりグルーブ感だったりが要因なのかもしれませんね。どちらにしろそういう風に受け取ってもらえることは嬉しいことですし、大切なことだと思います。

そして「Turn Sad」では、ドイツのディープ・ハウス・リヴァイヴァルを牽引するレーベル、スモールヴィル(Smallville)にも通じる、ミニマルなディープ・ハウスの要素があります。ダンス・ミュージックは熱心に追いかけているほうですか?

M:正直そこまで熱心に追ってはいないですね(笑)。「Turn Sad」は実は2年くらい昔に作った曲なので、当時よく聴いていた音楽が影響しているとは思います。最近気になってるのはジャトマとオニ・アイハムです。よく聴いてますね。

普段はどんな音楽を好んで聴きますか?

M:僕は普段はどちらかというとロックをよく聴きます。ヨ・ラ・テンゴとか、日本のロックもよく聴きます。

ちなみに「Bluu」のジャケは、ジェームズ・ブレイクのアルバムに対するオマージュですか?

M:それはよく訊かれますね(笑)。でも僕自身ジェームズ・ブレイクの新作はまだちゃんと聴いてないです。ジャケットもあまり覚えてないですね(笑)。「Bluu」のジャケットは完全オリジナルです。

1112_madegg_A3.jpg常に変化している音楽性ですが、変わらない部分もありますよね? その変わらない部分とは、今年惜しくも亡くなったレイ・ハラカミさんを想起させる、ドリーミーな雰囲気だと思うのですが、この雰囲気は、マッドエッグさんの生い立ちの影響でしょうか? それとも別の要因がある?

M:そのドリーミーな雰囲気は確かに意識していて、それは僕がこれまで経験した事全てに関わってくると思います。なのでとてもパーソナルで他人には説明もできないことですし、僕自身つかめてないのかもしれません。僕は高知の田舎で走り回って育ちました。空は広いし海もすぐそばにあったし、小さい頃の思い出は本当に僕の宝だと思ってます。小さい頃を思い出すときの不思議な気持ちは曲を作るときのヒントにしてます。

2011年に日本は、3.11という未曾有の出来事に襲われました。そうしたのなか、音楽を取り巻く状況も変わったと思うのですが、マッドエッグさんが音楽を作るうえで、そして、音楽に対する接し方といった面で影響を受けましたか?

M:僕自身はその事を真剣に考えてみても、影響を受けたとは思っていません。僕のしている音楽が伝えきれるものなのか分からないです。でも3.11以降変わってしまった事は現実ですし、同じ日本に住んでいる以上目を背けては行けない事だと思います。

マッドエッグさんにとっての、2011年ベストアルバムは?

M:めちゃめちゃ難しいですけど(笑)、mmm(ミーマイモー)さんの「フーアーユー」ですね(編注:このアルバムは去年リリースのものだけど、「今年聴いたアルバムで」ということかも?)。

最後に、今後の活動予定や目標などお願いします!

M:2012年は日本全国飛び回ると思います! 色んな人にお会いして、色んな人にもっと聞いてもらえるよう頑張りたいです。

ここまで付き合っていただき、ありがとうございます!

M:ありがとうございました!


2011年12月
質問作成、文/近藤真弥


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