UNDERWORLD『1992-2012 The Anthology』(Cooking Vinyl / Beat)

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Underworld『1992-2012 The Anthology』.jpgのサムネール画像

  アンダーワールドについて、そして、カール・ハイドとリック・スミスについては、既に多くのことが語られている。Freurとして「Doot Doot」というスマッシュ・ヒット・ソングを出したが、バンドは売れなかったこと。このバンドが前身となってアンダーワールドが誕生し、《Sire》と契約するも、アルバムを2枚リリースしたのち、契約を打ち切られたこと。銀行員として働きながら、DJをしていたダレン・エマーソンがメンバーとなった1992年以降、やっと日の目を見てスターダムにのし上がったこと。そのダレン・エマーソンも、いまはアンダーワールドから脱退し、DJとして世界をまわっているが、カールとリックの長い物語は、今もなお続いている。

 今回リリースされた『1992-2012 The Anthology』は、廃盤となっているベスト盤『1992-2002』をアップデイトしたものだ。本作は全3枚組で、『Dubnobasswithmyheadman』~『Barking』までの楽曲が収録されたディスク1とディスク2は、アンダーワールドの世界に触れるための入門編として最適な選曲となっている。そして、レア・トラック集であるディスク3は、コアなファンも喜ぶマニアックなチョイスとなっていて、これまた面白い。ダレン・エマーソン加入後のアンダーワールドとしてのデビュー・シングル「The Hump」や、アンリリースド・トラック「Big Meat Show」、さらにはシングルのカップリングなども収録されており、彼らの歴史を知るうえで重要な役割を果たしている。

 こういった形でアンダーワールドという物語を振り返ると、深い感慨に耽ってしまう。ロックのメカニズムをダンス・ミュージックに持ち込んだ、『Dubnobasswithmyheadman』で音楽シーンに衝撃を与え、映画『トレインスポッティング』に使用された「Born Slippy」をキッカケに、世界的なスターとなるまでの狂騒。しかし、その狂騒によって、一時はメンバー間で口をきかないほどの不仲になるなど、数多くの困難も経験してきた彼ら。だが、その困難を乗り越え、今では盟友ダニー・ボイルと共に、音楽監督としてロンドンオリンピックに関わるまでの存在となった。去年のクリスマスイブ、宇都宮におけるDJで、石野卓球が「Dark & Long(Dark Train)」をフロアに投下しクラウドが熱狂したように、彼らの音楽は、未だ多くの人たちを興奮させるだけのパワーを持っているのは言うまでもないが、それ以上に、ふたりがこれまで歩んできた波乱万丈な人生を垣間見ることに、本作の魅力を感じる。まあ、その魅力は、『Barking』のレビューで書いた「複雑な感情と疑問」を解消してくれるものではないが、ひとまず、彼らの物語を楽しもうと思う。

 

(近藤真弥)

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