DJ FOOD『The Search Engine』(Ninja Tune / Beat)

|

DJ Food『The Search Engine』.jpg 「現代人の生活は、多種多様な"Search Engine(検索エンジン)"に支えられている。人の仕事や遊びに影響を与え、支配していると思っている連中もいる。でもこのアルバムは『The Search Engine』で描かれた世界は、未だ発見されていない未知なるものなんだ」

 上記の発言は、オリジナル・アルバムとしては『Kaleidoscope』以来約11年振りとなる『The Search Engine』に対するDJフードのコメントである。なるほど、確かに本作は様々な要素を繋げることで、今までにない音楽の創造へ挑戦する実験精神と風通しの良さがある。とはいえこうした"接合"は元々DJフードが得意とする手法だし、このこと自体に驚きを覚えることはない。驚くべきは、過去のテクノ/ジャズなどをカットアップし、リスナーに衝撃を与えた音楽性からかけ離れた音を鳴らしている点だ。一言で言えば、本作においてDJフードはロックを鳴らしている。重厚なエレクトロを土台にサイケデリアやインダストリアル、そこに不穏なトライバル・パーカッションなどを混ぜることによって呪術的ともいえるグルーヴを生み出している。この試みのもっとも優れた成功例は、フィータスとしての活動でも知られるJ・G・サールウェルが参加した「Prey」だろう。いびつでギスギスとしたエッジがこれでもかと強調される「Prey」は、メタリカも顔を真っ青にして逃げ出すヘヴィーな雰囲気を発している。

 そして本作の見所のひとつとして、豪華な参加アーティスト達を忘れてはいけない。ケミカル・ブラザーズ「Let Forever Be」を彷彿とさせる「All Covered In Darkness (Pt.1)」にはドクター・ラバーファンク、「Giant」ではザ・ザのマット・ジョンソンが衰え知らずの歌声を聴かせてくれるし、他にも《Tru Thoughts》のナチュラル・セルフ、ミックスCDシリーズ"Solid Steel"の『Now, Listen!』『Now, Listen Again』などで交流のあるDKやセカンド・クラス・シチズンが参加している。

 ヴォーカル曲に関しては、ヴォーカリストの歌声を自身のビートとうまく調和させた秀逸な出来となっているが、声を尊重するあまり、DJフードの持つダイナミズムが削がれてしまっているのは残念だ。それでも聴き手を興奮させるだけのダイナミックな展開は維持できているし、削がれたといってもほんのわずかでしかない。まあ、もう少し声をドライに使用すれば、よりダイナミックになりそうではあるが・・・。「Colours Beyond Colours」「Magpie Music」といった曲で素晴らしいヴォイス・サンプル使いを見せているだけに、いい意味での乱暴さをもっと強調しても面白かったかもしれない。

 しかし、リスナーを約11年待たせてリリースされた作品としてのインパクトは十分に宿っている。リズムの組み立てや押し引きの妙はさすがとしか言いようがないし、冒頭の「未だ発見されていない未知なるもの」という言葉通りの世界観がアルバム全体で表現されている。素直に帰還を喜べるアルバムといっていいだろう。

 

(近藤真弥)

retweet