THE WALKABOUTS『Travels In The Dustland』(Glitterhouse)

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Walkabouts.jpg  フォーク・ロックの中でも、暑苦しい砂漠や乾燥した大地など、どことなくアフリカの自然を感じさせるスケールの大きさを放つ、より土着的な路線へと寄り添っている。蜃気楼が浮かび上がる日照りの下で、キャラバンが砂塵の大地を黙々と行進しているかのように、腰を据えたリズム隊とざらついたアコースティック・ギターが印象的に光る。6年振りのフル・アルバムは、前作で見られたアフリカ音楽への傾倒がより深まっており、本盤ではアメリカンな荒野の情景があまり喚起されることはないものの、フォーク・ロックとして着実に進化を遂げ、結果として素晴らしい出来のアルバムに仕上がっている。

 ファンタジックなゲームなどで、突然舞台が砂漠のエリアに転じた時に、がらっと空気感や質感が変わる感覚や、「一体どんな敵が現れるのだろう」とドキドキを募らせてくれる感覚など、本盤を聴けばあの高揚感に酷似したものが溢れて来る。それには、ざらついたアコースティック・ギターや、遠く響く電子音と歪んだギターのフレーズ、更にはブラシで軽やかに叩かれたドラムや、深くエフェクトをかけたヴォーカルなど、細かい配慮がなされた小道具らの全てが欠かせない。彼らが過不足無く役割を果たし、舞台を華麗なものへ際立たせているからこそ、この空気感が成立できる。

 フロントマンのChris Eckmanが、他のプロジェクトにおける活動中にサハラ砂漠へ訪れた際、本盤を制作する足がかりを得たようである。実際に砂漠へ足を運んでいなければ、アルバムのタイトルは"Dustland"ではなく、ありがちな"Desert"になっていたのかもしれない。サハラ砂漠の砂粒が、実際は塵のようにきめ細かいものであったということを、現地を訪れて知ることができたのなら、きっと充実した収穫であったに違いない。地味ながら、渋みの増した名盤である。

(楓屋)

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