KUEDO 『Severant』 (Planet Mu)

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KUEDO『Severant』.jpg  ブリアルの登場によって影に隠れてしまったのは否めないけど、Vex'd 『De Generate』の不安定なウォブリー・サウンドは、間違いなくインパクトがあった。その攻撃的なプロダクションは、ダブステップだけではなく、様々なベース・ミュージックに影響を与えている。

 そのVex'dの片割れ、ジェイミーVex'dによるKuedoのファースト・アルバム『Severant』が、《プラネット・ミュー》からリリースされる。これがほんと面白い良盤なのだ。アルバム全編を通して、TR-808というローランドのドラムマシンを使い倒しているが、ジェイミーVex'dの持つプログラミングの才と幅広い音楽性によって、実に多彩なビートが鳴っている。アフリカ・バンバータのエレクトロを進化させたかと思えば、ジュークを取り入れた曲もあり、そこへデヴィッド・ボウイ『Low』を想起させるクールなシンセが交わることによって、独特な世界観を創り上げている。このフェティシズムと言ってもいい領域に対抗できるのは、ハードフロアのTB-303に対する忠誠心くらいではないだろうか。

 年を重ねるごとに、ダブステップは高い順応性を発揮し、インディー精神を取り込んだステイ・ポジティブなども台頭してきている。この自由な音楽性が、ダブステップをはじめとするベース・ミュージックの魅力だけど、ジェイミーVex'dはあえて制限を設けることで、本作を完成させたように思う。それは統一感をもたらす代わりに、"単調"という産物も生み出しかねないが、前述したジェイミーVex'dの幅広い音楽性と、それを独自の解釈で表現することができるアイディアと技術によって、何回聴いても飽きないスルメ・アルバムに仕上げている。力みがない風通しの良さと同時に、最先端のビート・ミュージックまで詰まった『Severant』は、リスナーに斬新な感覚をもたらすはずだ。必聴。

(近藤真弥)

 

※本作は10月17日リリース予定。

 

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