DEPTFORD GOTH「Youth II EP」(Merok)

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DeptfordGoth.jpg  デプトフォード・ゴスことダニエル・ウールハウス(Daniel Woolhouse)は、アクティブ・チャイルドのリリースなどで知られる《Merok》が送り出すニューカマーだ。サウスロンドン出身の彼は、ジェームズ・ブレイクを彷彿とさせるソウルフルな声の持ち主で、音楽的教養の高さも窺える。自らの歌声を躊躇なく加工しコーラス・パートに配置するなど、ジェームズ・ブレイクとの共通点を挙げていけばキリがないが、ダニエルはシリアスになりすぎず、ハッチバック的な人工美を強調したエレクトロニック・ミュージックを鳴らす。

 ちなみにアーティスト名にあるデプトフォードは、ロンドン中心部から少し離れた南東部に位置する小さな町の名前でもある。デプトフォード・マーケットには、古着や雑貨などを売る露店がずらりと並び、最近は現代アートに影響を受けた建築物が建ちはじめている。主にアフリカ系やアフロ・カリビアン系の移民が住んでおり、様々な感性が集まるハブのひとつとも言えるが、デプトフォード・ゴスの音楽も、いろんな音楽的要素で構成されている。

 世間ではポスト・ダブステップとして語られたりもするが、ダブステップをはじめとしたベース・ミュージックの要素は、ほんの僅かな割合でしかない。むしろ、80年代ニュー・ウェイヴを想起させる、ペット・ショップ・ボーイズ的なエレ・ポップが基調となっている。そこにアンビエント、R&B、ニュー・ディスコといったスパイスを加えることで、ダニエルは個性を発揮する。ある意味この雑食性が、アティチュードとしてのダブステップを表現していると言えなくもないが、「Youth II EP」を聴く限り、ベース・ミュージックに対するこだわりは感じられない。自由奔放で力みがないその音楽性は、特定のジャンルやカテゴライズを拒否するかのようだ。そんなデビューEPとなる本作は、ダニエルのインテリジェンスと将来性が詰まった、素晴らしい良盤だと言える。

(近藤真弥)

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