ROMAN FLUGEL 『Fatty Folders』(Dial / Octave Lab) [reviews]

ROMAN FLUGEL.jpg「Rocker」のヒットでも知られるオルター・イーゴでの活動や、リカルド・ヴィラロボスとのRiromなど様々な名義を使い分け、長年に渡りドイツのテクノ・シーンで活躍してきたローマン・フリューゲル。そして、これらのプロジェクトで実践してきたアイディアや手法の集大成として生まれたのが、本人名義では初のフルアルバムとなる『Fatty Folders』だ。

 先行シングルとしてリリースされた、優雅なハウス・トラック「How To Spread Lies」をはじめ、トロピカルな電子音が特徴的な「Bahia Blues Bootcamp」。多彩なシンセのレイヤーが、壮大なコズミックを創り上げる「Krautus」。さらには、ジャジーなリズムと絡み合うピアノが心地良い「Song With Blue」といった曲までもが存在する。これらが収録された本作を支配しているのは、人工的な構築美であり、その構築物に感情を宿し、肉感的なグルーヴを得ようとするローマン・フリューゲルの姿だ。この"肉感的なグルーヴ"を得るにあたって、シカゴ・ハウス的な構造を取り入れたりもしているが、この試みは成功したと言っていいだろう。終始ストイックかつマッドな欲情が見え隠れするし、何より、心の揺らぎなどによって変化する精神状態を音で描写するという難題も達成している。

 非常にシンプルで派手なアルバムとは言えない本作だが、精密なサウンド・プロダクションと精巧なトラック群によって、美術館に展示されていてもおかしくない荘厳かつ凛とした雰囲気を発している。そんな『Fatty Folders』は、聴くたびにリスナーの想像力を喚起する、音楽という名の絵画の域に達した素晴らしいアルバムだと言えよう。

(近藤真弥)

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このページは、伊藤英嗣が2011年9月14日 01:04に書いたブログ記事です。

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