LITTLE DRAGON 『Ritual Union』(Peacefrog) [reviews]

littledragon.jpg  キーボード、ベース、ドラムス、パーカッションという少し変わった編成のエレクトロ・カルテット。全員がヴォーカルを担当しているようだが、メインは日本人女性であるYukimiさんによるものだ。基本的にはスウェーデン出身/拠点としている彼らだが、今回の契約はロンドンのPeacefrog Holdingsと交わされていて、ヨーロッパやアメリカを中心にツアーを行なっている。

 ヴォーカルやエレクトロ・サウンドももちろん多く含まれているが、リズム音がより多いのは大変特徴的である。しっかりとしていながらもどことなく緩いフィーメール・ヴォーカルに音数の少ないエレクトロ・サウンドが合わさることで、全体を通して非常に実験性に溢れた音楽に聴こえてくる。無論、当然のことながらエレクトロというジャンルにおいて実験的でないものなど殆ど存在しないことは承知の上だが、ここにあるその要素は他ではおそらく聴けないであろう唯一無二の、言うなればキーボードとリズムと歌のバトルでもあり、それをここぞといういいところで盛り上げたりまとめたりしてくれている。そのような落差や裏切りに、ことごとく感服させられるアルバムだ。

 難しいのは彼らの音楽を聴く限りルーツが多種多様にわたるであろうことで、決して彼らはエレクトロを極めている人たちとは言えない。様々な音楽を自分たち流に解釈し融合させた結果、それを自分たちのものにし、最終的にそれらをエレクトロニカなるものにして表現しているのだと推測する。先述したようにリズム音に重点を置いている理由もきっとそこにあるはずだ。複数の音を簡単に出せるいわゆるコンピュータのような機材を使わず敢えてアナログで、ここまでの少ない音だけで適度にさして踊れない程度に高揚感を持たせたりいろんなカラーを持たせたりといったことが出来るのはもはや尊敬に値するのではないか。まさに一聴の価値あり。

 

(吉川裕里子)

retweet

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: LITTLE DRAGON 『Ritual Union』(Peacefrog)

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://cookiescene.jp/mt/mt-tb.cgi/2936

このブログ記事について

このページは、伊藤英嗣が2011年9月 4日 00:14に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「COLDPLAY「Paradise」Teaser Single(EMI Music Japan)」です。

次のブログ記事は「SACOYAN 「Tivu Folded Shelves」(同窓会)」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

Powered by Movable Type 4.1