GIRLS 『Father, Son, Holy Ghost』(True Panther Sounds / よしもとR&C) [reviews]

Girls.jpg  ガールズにとってのファースト・アルバム『Album』は間違いなく"ロック"と呼べるものであり、何かを突き抜けるような特別な力が存在していた。サイケデリアなシューゲイズにサーフ・ポップやハードコアも織り交ぜた音。そこへ切ないメロディーと感傷的な歌詞が優しく寄り添っている。しかし同時に、希望へと向かうフレッシュな輝きに満ちたポジティビティーや意志の固さもあった。それは"永遠のクラシック"と呼ぶに相応しいものだし、これから先もそれは変わらないだろう。文字通りガールズは"ロック"だった。しかし、そんなガールズの"ロック"な姿を『Father, Son, Holy Ghost』に求めることはできない。

 前作譲りの切ないメロディーと感傷的な歌詞は健在だし、曲自体も親しみやすい佳作が多く収録されているが、アルバムを通して覆うグルーヴはたとたどしく、冗長なものになっている。それはまるで、感傷に浸る自分自身を許し、そんな自らの姿に陶酔しているようにも見えてしまう。こうした怠惰的なナルシズムに対してはどうしても苦手意識が働いてしまうし、正直好きじゃない。

 "『Album』が評価され、そのことによる多忙や度重なるツアーを踏まえての『Father, Son, Holy Ghost』"みたいな物語の上でなら本作を持ち上げることもできるだろうし、こういったものが多くの人々に共有されるべき音楽であり、時代の要請によって求められているのであればそれも致し方ない気はするが、この慰め合いに進んで参加する気にはなれない。もちろんどんなバンドでも幸福な時期というのはずっと続くわけではないし、様々な困難や挫折によって曲にもダークな感情などが流れ込むこともある。それでも、その場に留まらず前進していくことは可能なはずだ。それは例えば、ドラムスの素晴らしいセカンド・アルバムが証明している。

 ここまで書いてきたことからすれば意外かもしれないが、リスナーに"ロックとは?"と問いかける意味において、『Father, Son, Holy Ghost』は分岐点であり重要作、または今後のポップ・ミュージックを占う試金石にもなりえるアルバムだ。前述した"物語"を考慮して接するべきなのか? その時々の瞬間風速のみを捉えて考えるのか? はたまた別の何かか? 本作を手に取った人々の数だけ答えはあるだろうし、考えさせられるものが多く詰まったアルバムではある。

 そして、僕なりの答えはこの原稿という場を借りて長々と書いてきたつもりだ。そこに付け加えるとしたら、たった一言だけ。

「こんな狭っ苦しい場所で窒息したくない」

 それだけだ。

(近藤真弥)

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このページは、伊藤英嗣が2011年9月 4日 00:14に書いたブログ記事です。

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