WHEN SAINTS GO MACHINE 『Konkylie』(!K7) [reviews]

When Saints Go Machine『Konkylie』(!K7).jpg  この作品は一聴しただけでは魅力がわかりづらい異色作となっている。デンマーク出身のエレクトロ・グループの2作目となるフル・アルバムだ。本作に限って言えば、まずエレクトロであり、ヴォーカルがしっかりしている、そして全体的にスロー・テンポなのが特徴だ。以前からこのバンドのことを知っている方には大変意外かもしれない。これまでエレクトロ音に合わせて生ヴァイオリンを入れるなど独特のアプローチをしてきたからだ。そんなファースト・アルバムはEMI Denmarkからリリースされており、よりバンド・サウンドに近い面を持っていた。ところが一変した今回の《!K7》からの最新作、これは"北欧エレクトロニカ"と称していいだろう。だがビートや低音は非常に軽く、曲調もときにレトロだったり新しかったり、様々だ。そして1曲1曲がきっちり分かれているのもエレクトロニカ・レーベルからのリリースものとしては比較的珍しい類いに入るかもしれない。ファースト・アルバムも名作だったため、ある意味自分たちを超えるための試行錯誤の上での実験的作品とも言えよう。

  そんな今作はタイトル曲「Konkylie」(ドイツ語で「巻き貝」の意)からゆっくりと始まっていく。特徴的なメイル・ヴォーカルが幻想的な音楽に乗せて響きわたる。続く「Church And Law」でもヴォーカルを強調させながら、その裏で鳴っているエレクトロ音の不協和音が聴く者を彼らのワールドに引き込むように煽っていくのだ。そして大胆なシンセ・アプローチ。それでもどこか寂しげで憂い気なのは北欧ならではだろう。「Parix」では少しキャッチーなポップ要素を取り入れ、「Chestnut」では唯一シングルにもなり得そうな曲らしい曲を奏で、「The Same Scissors」では感動的なアンビエントとダーク・エレクトロニカを鳴らし、かと思ったら「Jets」で民族音楽のようなリズム・セッションを見せてくる。アルバムも後半に差し掛かり、「Kelly」では80年代のエレポップやニュー・ウェイヴを思わせる異色のサウンドを、そして「On The Move」ではエレクトロ・バラードを、更に何とも暗く妖艶な「Whoever Made You Stand Still」が始まり、ラストは「Add Ends」。メイル・ヴォーカルから始まり徐々にエレクトロ音とヴァイオリンが追加され、不思議なコード進行が盛り上がりも最高潮へと持っていく。そして最後は驚きの...! 聴けば聴くほどに味がしみ込む大傑作の予感。

(吉川裕里子)

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このページは、伊藤英嗣が2011年8月 1日 06:45に書いたブログ記事です。

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