THE BRIGHTS 『A Trivial Pursuit』(Rimeout / Lemon Pop)

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THE BRIGHTS『A Trivial Pursuit』.jpg  さあ全国のネオアコ・ファンの皆さん、聴いてらっしゃい観てらっしゃい!とでも言わんばかりのエセックス出身のザ・ブライツ。ベタベタなまでに、ザ・スミス、ザ・ジャム、スタイル・カウンシル、ペイル・フォウンテンズ、そしてアズテック・カメラにオレンジ・ジュースなんかの70年代末期~80年代初期のイギリスのポスト・パンクの方法論を踏襲した海岸沿いのグッド・メロディー。

 昨今、デンマークからノーザン・ポートレイトやスウェーデンからザ・ソネッツが登場して、ネオアコ再評価が水面下で起こってきていたが、本家イギリスからもエドウィン・コリンズ(ex-オレンジ・ジュース)が『Losing Sleep』を発表。そして、このザ・ブライツも、そこに加わることは確実だろう。この『A Trivial Pursuit』にレコメンド文を寄せたカジヒデキ氏の言葉を引用させていただくと「スタカン時代のP.ウェラーの精神を純粋に継承し、かつ80'sのネオアコ、90'sのスウェディッシュ・ポップの旨味をギュギュッと凝縮させた」サウンドである彼らだが、近年のネオアコ勢の中ではとりわけ、そういった「往年の」先人たちの影響を率直に打ち出したサウンドが魅力的だ。昨年1月にフリッパーズ・ギターのベスト盤『Singles』がSHM-CD化して再発されたこともあり(ネオアコだけの枠では到底、括れそうにない『ヘッド博士の世界塔』含め)彼らもますます再評価がなされてきているが、そんなネオアコをリアルタイムでは聴けなかった新世代から、「若かりし頃を思い出すなぁ」なんてネオアコ玄人にまでアプローチをしかけられるジャングリーなコード感も心地良い。

 と言う訳で、老若男女問わず思わずホロリと涙してしまいそうな本作だが、現時点では良くも悪くも「往年のネオアコの再来」と言う枠をうまく脱していない印象を少々受けるのも事実だ。例えば、ザ・ドラムスがオレンジ・ジュース最高!と言いながら、海に向かってずんずん進んで行く様を見て来た僕たちはザ・ブライツにも、更なるインディー・ポップ的な期待を重ねても良いだろう。ネオアコが様式美化してしまうのを超えて、次の世代にどんどん移り変わることを見届けてみたいものだ。

 アズテック・カメラの「Walk Out To Winter」を思い出さずにはいられないイントロのシンプルなコード、そこから水色の世界を映し出す「Footsteps」や、思わず街に繰り出したくなってくるようなリズミカルな「A Cameo Can't Last Forever」、リードギターの切なく高鳴るようなハイが印象的な「London Belongs To Me」、「Memories Of You」などのリード曲になりそうな曲たちもつかみ所が明確で良いが、是非、日本盤のボーナス・トラックである「Lost In Tokyo」も聴き逃さぬよう。ティーンエイジ・ファンクラブのようなエヴァーグリーンなギター・ストロークスに初期のスピッツのような物哀しく傍観的なブルース・ハープが鳴るイントロが魅力的なこの曲は、そのインディーっぽいコーラスも含め全方位にアプローチしていける現代的グッド・ソングの一つだ。

(青野圭祐)

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