ジプシー&ザ・キャット

GYPSY & THE CAT

ぼくのイメージする「サマー・ポップ」って
聴く人をハッピーにする音楽だから!


創刊当時からクッキーシーンは、グラスゴーやUSの地方都市をはじめ、北欧やカナダ(そして、もちろん日本)など、ポップ・ミュージックの周縁から登場したバンドたちも積極的にとりあげてきた。そういった場所にも、当然いいバンドがたくさんいるから。そんな「素敵な辺境」のひとつにオセアニア...ニュー・ジーランドやオーストラリアがあげられる。英米のインディー・ミュージックも深部に多大な影響を与えてきた前者はもちろん、後者も素晴らしいバンドをたくさん輩出している。最近でいえば、先日発売されたクッキーシーン・ムック『21世紀ロックの爆発』にもインタヴューを掲載したマイアミ・ホラーなど。そして、この8月頭にファースト・アルバム『Gilgamesh』を日本でリリースしたのにつづいて、サマーソニックにも出演することが確定している彼ら、ジプシー&ザ・キャット!

たとえば80年代、オーストラリアからはザ・ゴー・ビトウィーンズといった素晴らしいインディー・バンドも現れたけれど、その一方でスーパー・ポップな、エア・サプライみたいなやつらもいた。『Gilgamesh』は、その両者どちらのファンが聴いても好きになってしまうのではないか...。実際、どちらも好きだったぼくなどは、一気に虜になってしまった!

彼らは今を時めくマーク・ロンソンのお気に入りでもある。2枚目のシングルともなった「Jona Vark」という曲のデモ音源を彼が気に入ったことが注目されるきっかけのひとつだった。昨年6月にはUKのヤング・アンド・ロスト・レコーズからファースト・シングル「Time To Wonder」をリリースした彼らは、アルバムを完成させて、今は(それこそ、80年代にゴー・ビトウィーンズもそうしたように:笑)UKに移り住み、本格的な活動を開始しようとしている。
 
上記2曲のリンク先(ユーチューブ)の音源を聴いてもらえばわかるとおり、彼らの音楽は、どこか80年代に通じる感覚を持ちつつ、あくまで「今」のセンスに貫かれている。リード・ヴォーカル、ギター、シンセサイザー、ベースなどを担当するマルチ・プレイヤー(アルバムにはクレジットされていない...そこでは叩いていないようだが、幼いころからドラムを習っていたらしい)、グザヴィエ・バキャッシュに話を聞いた(伊藤英嗣が作った質問をもとに、中谷ななみさんが電話をかけています)。

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『Gilgamesh』、今年の夏の愛聴盤のひとつになりそうです! まさに「サマー・ポップ」って感じで...。

グザヴィエ・バキャッシュ(以下X):その表現、いいね! ぼくのイメージする「サマー・ポップ」ミュージックって、聴く人をハッピーにする音楽だから! 夏もすごくいい季節だし。みんな気に入ってくれるといいな。うん、いい言い方だよ(笑)。

このファースト・アルバムに至った経緯は?

 X:相棒のライオネル(・タワーズ:アルバムでは、ピアノ、シンセサイザー、ベース、バッキング・ヴォーカル、そして「レコーダー」を担当している)とぼくはすごくいい友だちで、メルボルンで一緒にDJをしてた。そうしているうちに、一緒に曲を書くようになっていったんだよ。お互いに、相手がすごくおもしろいセンスを持っていると感じていたし、そうやってふたりで作りあげたアルバムにも、すごく満足している。日本でリリースできることになってとってもうれしいよ。なんていうか...英語が母国語じゃない外国で出るって、すごく特別なことみたいな気がしてね(笑)! 昔から、そういう国でアルバムが成功したら面白いだろうなって思ってたし、日本の人たちって、すごく熱心に音楽を聴いてくれるって聞いてたからね(笑)。

そう、日本にはクッキーシーン読者をはじめとして音楽オタクが多いですよー(笑)。今回の質問作成者も、もう狂ったように長年音楽を聴きまくっています。で、80年代に青春をすごした彼にとっては、『Gilgamesh』はかなり80年代ポップを思わせると感じたそうです。プリファブ・スプラウトやティアーズ・フォー・フィアーズやクラウデッド・ハウスといったもの...は、今でもクールと思うんですが、そういったもののみならず、へたしたらTOTOとかキム・カーンズ(いや、「Sight Of A Tear」のイントロが「Betty Davis Eyes」という曲のそれに似てたりとか:笑)を連想させる部分も...。彼らは80年代には、とてもダサいものと捉えられていました(笑)。こういったことについて、どう思いますか?

 X:確かに、当時彼らはポップ・アーティストだと考えられていて、クールな扱いではなかったよね。でも今では、80年代のカルチャー全体がリバイバルですごくクールなものに考えられてる。ファッションから話し方まで、全部(笑)。今住んでるイギリスでもそういう部分はあるけど、オーストラリアでは特に、「今」の音楽がクソみたいなものになってて、いい音楽っていうのを探していくと、80年代の音楽に辿りついてしまうんだよね。両親がそういう時代の音楽をよく聴いてた、ってこともあるけど。

一昨年の質問作成者のお気に入りのひとつは、パッション・ピットだったそうです。彼らの音楽も、そういった80年代っぽさを感じさせるような...。

X:彼らの音楽は好きだよ。元々、本物のギターやドラムやベースが鳴ってるような音楽がすごく好きなんだ。彼らの音楽って、ぼくらの音楽よりも大分加工されたエレクトロニックな音になってるけど、ぼくらの音楽にはまだ、ギターをそのまま弾いてるような部分がたくさんある。あそこまでエレクトロニックにはなりたいと思ってないけど、ヘヴィーなエレクトロニックのひねりが音に入るのは面白いと思うな。

たしかに。彼らの音楽よりも、あなたたちのそれのほうがよりナマっぽい。日本盤にはボーナス・トラックとして、エアロプレインやヴァン・シー(Van She)といったグレイトなひとたちのリミックスがたくさん入っています。それらの曲はフロア向けで、それこそよりパッション・ピットとかにも近い感じ? 彼ら...エアロプレインやヴァン・シーとは友だちって感じですか?

X:うん。仲のいい友だちだよ。彼らにリミックスを頼まれたこともあって、そのお返しにやってくれた(笑)。彼らの作品は前から好きだったしね。いいアイディアだと思った。

後者は、あなたたちと同じオーストラリアのひとたちですよね? 質問作成者は、00年代前半からカット・コピーが大好きだったそうで...。

X:彼らはグレイトだし、オーストラリアからそういうすばらしい音楽がいくつも出てきているのは、すごくエキサイティングだと思うよ。

オーストラリア出身同士、ライバルと思ったりしますか? それとも、どこから出てきてるバンドかっていうのはあまり気にしない?

X:ぼくらはオーストラリア人だけど、お互い競い合ったりしないよ(笑)。カット・コピーはアメリカですごく成功してるよね。ヴァン・シーはちゃんとしたリリースが最近ないから、今競いあうって感じでもない。まあ、それぞれいろんな場所で違ったオーディエンスから支持されていけば、それでいいんじゃないかな。みんな音楽性も違うしね。

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ところで、あなたのお名前を拝見するに、フランス系の方かな? と思うんですが、いかがでしょう?

X:(笑)いや、違うよ。

あっ、そうなんですね(笑)。ちなみに、フランスにはタヒチ80というバンドがいます。質問作成者は、フェニックスほどではないにせよ、彼らも好きだそうです。日本では、もしかするとフェニックス以上に人気があるかもしれません。いや、その中心人物の名前もあなたと同じグザヴィエさんなので(笑)。「質問」としては...、今挙げた2バンドはお好きですか?

X:うん、好きだよ(笑)。それに、エール。彼らはぼくらにとって、一番大きな影響だった! 音楽的には彼らとぼくらは相当違うと思うけど、服装とか音楽に対する姿勢とか、かなり影響を受けた。すごく知性的なバンドだし。

どうして彼らのことが好きになったんですか?

X:まあ、偶然彼らの音楽を耳にするところから入っていったわけだけど、すごく穏やかでメロディーがあって、知性的だと思った。こんなふうに音楽を作っていけたら、素敵だな、って思ったんだよ。彼らの音楽への向かい方が、すごくいいな、って思った。まあ、ぼくらの音の方がかなりポップだけど(笑)。

ちなみにおふたりの音楽的な趣味は、結構似てるんですか?

X:基本的なところではね。でも今は結構違う音楽を聴いてるな。

それじゃ、最近はそれぞれ、どんな音楽を聴くことが多いですか?

X:ライオネルは最新のアンダーグラウンドなエレクトロニック・ミュージックをよく聴いてるね。ぼくは70年代や80年代のディスコ・ミュージックをよく聴いてる。相当違うね(笑)。

アルバム4曲目「Gilgamesh」のタイトルをアルバム名に冠していますね。ギルガメッシュって、たしかヨーロッパの神話のキャラクターだと思うんですが、そういった神話とかに、とくに興味をお持ちだったりしますか?

X:うん、もちろん。すごく興味があるよ。関係ないけど、日本の『ギルガメッシュ』って作品が流行ってるって、ホント?

カートゥーンのやつ(石ノ森章太郎がかつて描いたマンガを原作にしたアニメが最近作られたりしている)ですかね?

X:いや、どんな作品かはよく知らないんだけど...ドイツで、日本にはギルガメッシュって作品がある、って聞いて...。どんな作品かはわからないんだけど...。ダメだ、今、ちょっとネットで見てみようと思ったんだけど、すぐには出てこないね...(笑)。とにかく、そういうファンタジーみたいなものには興味があるよ。

バンド名は『365 Bedtime Stories』という子供向けの絵本からとったそうですね! 質問作成者も子どもが小さいとき(英語にふれさせるという意味も含めて:笑)子どもにそれを読みきかせていたそうで、懐かしいなあ...と言ってました(笑)。

X:そうだね...えーっと...(笑)。ぼく、なんてコメントすればいいかな(笑)?

(笑)バンド名がジプシーとネコ、ってのもいいですね。

X:うん、そうだね。ぼくも気に入ってるよ。

なんていうか、とても「自由」な気がします。どこにでも行けて、なんでも好きなことをやれる、みたいな(笑)。あなたたちも、きっと「自由」なひとたちですよね!

X:そうだね。そんなふうになれたらいいなとは思ってるよ。まあ、金がなきゃ、本当にどこにでも行ける、ってことにはならないかもしれないけど(笑)。

でも、そういう想いで名前を決めたわけではないですよね?

X:そうじゃないけど、無意識的にはそうだったかも(笑)。

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(笑)サマーソニック出演のため来日されるそうですが、日本は初めてですか?

X:うん、そうだね。すごく楽しみにしてるよ。待ちきれない。本物の日本の刺身を食べてみたい(笑)。それから、神社に行ってみたいね。

そんな観光する時間、あるんですか?

X:ない(笑)。せめてサマソニで、寿司みたいなものが食べられる屋台が出てるといいけど(笑)。

鉄火丼みたいなのはあったと思いますよ。楽しんでください(笑)! というわけで、どんなパフォーマンスを見れるんでしょうか? あなたたちのギグを、言葉で表現してみてください。

X:そうだね...。ベースとドラマーが一緒にプレイしてくれて、ライヴ・バンド形式のギグになるよ。アルバムからの曲をプレイするけど、レコードよりもエネルギーにあふれたものになるね。ぼくはステージの上を走り回って、「寿司食わせてくれ~!」って叫ぶ(笑)。

(笑)楽しみにしてます! それじゃ、最後に、初来日前のメッセージをお願いします。

X:日本に行くのが待ちきれないよ。ぼくら自身、本当に楽しみにしてる。とりあえずそこでいいショウをして、またツアーで来られるようにしたいね。

2011年7月
質問作成、文/伊藤英嗣
取材、翻訳/中谷ななみ


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ジプシー&ザ・キャット
『ギルガメッシュ』
(RCA / Sony Music)

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