LOTUS PLAZA『The Floodlight Collective』〜ディアハンターとのシンクロ

|
たいていなんでもそうなんですが、「当該アーティスト」だけではなく、「その仲間」の作品に接すると、そのひとの「やりたいこと」がさらにはっきり見えてくることがあります。

「仲間」の音楽がつまらなかったら、それ聴く時間も惜しいって感じとは思いますが(笑)、この場合はそうではない! ということで、昨年の「プライヴェート・トップ10」にもセレクションを提供してくださった、財津奈保子さんからの投稿原稿です!

>>>>>>>>>>


 数あるインディバンドの中でも独自の音楽を開拓しつつあるディアハンター。バンドのフロントマン、ブラッドフォード・コックス(Bradford cox)の親友で、お互いにインスパイアし合うバンドメイトでもある、ギタリスト、ロケット・パント(Lockett Puntd)のソロ・プロジェクト、ロータス・プラザの1stアルバムが本作。リリースはアトラス・サウンドの2nd『LOGOS』と同じ2009年、バンドでも所属しているレーベルKrankyからのみ発売している。

 何故、今、このアルバムの紹介をするかといえば、先日、念願のディアハンターのライブを生で体感した時に、ディアハンターのサウンドにおいていかにこのロケット・パントという人が重要か、を改めて実感したから。ディアハンターでリードボーカルをとっている曲のリリックやソングライティングも彼自身が行っており、大阪4ADでは最新アルバム『HALCYON DIGEST』から、一曲目に「Desire Lines」六曲目に「Fountaw Stairs」を披露してくれた。

 本作のアートワークについて特に記載はされていないが、私がもらったサイン(ロータス・プラザのLとPをもじった可愛い象のイラスト)から考えてもタイポグラフィはおそらく本人とみて間違いないと思う。ディアハンターではアートワークに関してもブラッドフォード自身が写真を撮ったり、タイポグラフィも彼自身によるものが多いが、本作のタイポグラフィも非常にノイジーでディアハンターのEP『FLUORESCENT GREY』と比較しても、とても良く似ている。音楽だけでなく、2人がいかに同じ物を共有しているか、の断片が表れている様に思う。

 サウンドについては、まさにアルバムタイトル、『FIOODLIGHT=投光・照明』を『COLLECTIVE=集めた』ような眩いばかりのギターのリバーブで、とてもキラキラとしたサイケデリア。その美しさは、ディアハンター『MICROCASTLE』にも活かされている。しかし、痛みや冷たさは感じられず、ディアハンターではしっかり聞かせていたボーカルも、今作ではリバーブの波に溶け込んで揺らめき、とても甘くてユーフォリックな仕上がりになっている。彼がフェイヴァリットに挙げている、60~70年代の音楽も随所に散りばめられ、私が一曲目「RedOakWay」を聞いて連想したのはリヴァプール。この音はKrankyのみならず是非4ADからもリリースされるべき!っとつい意気込んでしまう。「These Years」はこれまた美しく、神聖な閃光を全身に浴びている様なサウンドで、ずっと聞いていたい、と思ってしまう中毒性がある。そして「Different Mirrors」でドラムを叩いているのはブラッドフォード・コックス。クレジットのTHANK YOUでも一番に彼の名前が書かれている。仲の良さをしっかりと目の前で見てきた後なので尚更微笑ましい。

 次回作も本当に楽しみなのだが、なにぶんメインのディアハンターも精力的な活動をしていて、現在もけっこうなロングスパンでツアー中。本人も次回作を作る意気込みはありそうなものの、時間的にハードに過ごしている事もあり、まだ着手、とまではいかない様子だった。先日、ディアハンターを見て念願を果たしたばっかりの私だが、強欲な事にまた新たな想いも生まれてしまった。ロータス・プラザのキラキラのリバーブを、是非生で味わいたい。その為には今作『THE FLOODLIGHT COLLECTIVE』はもっと知られるべきだ。『MICROCASTLE』での偉業は間違いなくこの寡黙なギタリストがいなければ成し得なかった事なのだ。もっともっと周知され評価されるべきだし、この美しいサウンドは、リリースされた二年前より、現在の方がはるかにリスナーが求めているものだ、と私は思う。

retweet