MADEGG 『Players』 (Bunkai-Kei)

Madegg.jpg「子供の頃の集団での遊びを、楽しさだけでなく驚きや、恐怖心、不思議さなどの視点からイメージ」というテーマを元に作られた『Players』は、聴き手の想像力を求め、そして掻き立てる。

 京都を中心に活動する18歳のトラックメイカー Madeggの音楽は、どこか懐かしさを感じさせる。それは想像力を用いたコミュニケーションや、理性と本能の両立といった、我々が当たり前のように持っていた「優しさ」というのが存在するからかもしれない。同時に、いま挙げた要素を現在の我々は失ってしまったという「喪失感」も突きつけられるのだが...。

 フライング・ロータスが主宰する《Brainfeeder》周辺の音楽にも通じるビート。独特な時間軸によって心地良いグルーヴを生み出す曲進行。先日惜しくも亡くなったレイ・ハラカミを彷彿とさせるプリミティブな電子音(もちろんひとつひとつの音は丹念に作られている)。これらにスパイスとして加わるのは、聴き手であるあなたの想像力だ。

 "ディープにも、意味ありげにもなってはいけない。心を開き、アンビエンスの中に入り込む。それこそがハウス・ミュージックの美学だ。精神を開かれたものにすること。優れたアンビエント・ハウスは決して退屈なものではない。繰り返し一晩中聴き続けたとしても。優れたハウス・ミュージックは、トリガー・メカニズムを持っている。音が唇に降り注ぎ、顔には微笑を浮かべさせてしまうような...。"(The Orb / アレックス・パターソン)

 僕は『Players』を初めて聴いたとき、このアレックス・パターソンの名言を思い出してしまった。しかし本作はハウスじゃないし、どんなカテゴライズも受け付けない。強いて言うなら、聴き手との共犯関係によって完成する音楽であり、その音楽は聴き手の中で形成される。だからこそ、「同じ音楽」は存在しない。前述したように、完成させるのは聴き手である「あなた」だから。『Players』は、「あなた」の数だけ存在し、これからも増殖していく音楽だ。

(近藤真弥)

 

※本作は、分解系レコーズのホームページで無料ダウンロードできる。


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