LAMA 「Spell」 (Ki/oon)

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LAMA「Spell」.jpg  なんだこれは? 何度聴いても、何かが解き明かされるどころか、ますます謎が深まりどんどん深みにハマっていくような感じ。しかしこれが、元スーパーカーのナカコーとフルカワミキ、ブラッドサースティー・ブッチャーズやトドルなどで活躍中の田淵ひさ子、そしてアグラフこと牛尾憲輔の4人によるバンド、LAMAの魅力かも知れない。

 どんなバンドでもシングルに次作の方向性や狙いが隠れていたりするものだけど、「Spell」にはそれがない。だがその不明瞭さは、バンドの未来が見えないといったネガティヴなものではなく、「次に何が飛び出してくるんだろう?」というワクワク感と共にあるものだ。

「Spell」とカップリングの「One Day」だけがLAMAの本質ではない。音楽的背景がそれぞれ異なる4人が集まっているのと、全員がプロデューサー的視点を持っていることも手伝って、どんな音楽をやっても不思議じゃない引き出しの多さが本作には感じられる。おそらくLAMAは、4人にとってクリエイティビティーが交差するハブ的な存在なのではないだろうか? それはバンドというよりも、帰納的にそれぞれの個性が収斂されていく「プロジェクト・チーム」のようなものだ。

  LAMAという存在のあり方を考えたとき、僕はアート・オブ・ノイズを想起してしまったのだけど、LAMAも彼らのように、実験的なことをあくまでポップ・フィールドの中でやろうとしている節がある。それはすごくチャレンジングなことだし、もっと言えば、それは従来の「バンドという名の共同体」の概念とは異なるものだ。この異質とも言える要素が、LAMAの音楽を面白くしているのではないか。

(近藤真弥)

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