『Blue Songs』において、ヘラクレス・アンド・ラブ・アフェアが選ばなかった道。端的に言えば、『Azari&Ⅲ』とはそういうアルバムだ。
アルバムにも収録されている「Hungry For The Power」で12インチ・デビューを果たしたアザリ・アンド・サードは、ドイツの《Permanent Vacation》やティガが主宰する《Turbo》といったレーベルからリリースを重ね、「Stay Here」ではフレンドリー・ファイアーズとコラボするなど、多岐に渡る活動を繰り広げている。これらの活動からも分かるように、アザリ・アンド・サードは幅広い音楽性と順応性を持っている。
『Azari&Ⅲ』も、往年のシカゴ・ハウスを基本としながら、エレ・ポップやソウルの香りを感じさせる曲、さらにはアート・デパートメントが鳴らすアングラ臭に満ちたモダン・ハウスをポップに昇華するなど、様々な音楽を繋ぎ合わせる嗅覚は突出したものがある。
しかし、冒頭で"『Blue Songs』において、ヘラクレス・アンド・ラブ・アフェアが選ばなかった道"と書いたように、本作は必ずしも、アザリ・アンド・サードにしか作りえないアルバムとは言い難い。『Blue Songs』で前作の流れを引き継いだ音を維持しつつ、「チル」というダンス・ミュージックが持つもうひとつの側面へ果敢に挑戦したヘラクレス・アンド・ラブ・アフェアに比べると、『Azari&Ⅲ』は安易な選択に見えてしまう。「接合された音楽」が溢れるようになって久しいけど、そうした状況で問われることのひとつは、「いかにその接合センスにオリジナリティがあるか?」だと思う。そして、『Azari&Ⅲ』という現在地の中に、アザリ・アンド・サードのオリジナリティを見出すのは、正直難しい。
