HUDSON MOHAWKE 「Satin Panthers」(Beatink / Warp)

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Hudson Mohawke『Satin Panthers』.jpg『Butter』ではサイボトロンやアウトキャストなど、実に様々な影響を感じさせる音を鳴らして見せたハドソン・モホーク。そんな彼が届けてくれた最新EP「Satin Panthers」には、今まで以上に強烈なパワーが宿っている。

  本作から感じ取れるのは、エレクトロやヒップホップにR&Bはもちろんのこと、ダフト・パンクや初期レイヴを想起してしまう瞬間もある。つまり、『Butter』を超えるいろんな音が散りばめられているわけだが、個人的に本作が持つパワーは、初期レイヴの要素が大きな役割を果たしていると思う。しかし何よりも重要なのは、ハドソン・モホーク自身が我々を驚かせようと、意識的に他とは違う音楽を作っている点だ。しかもストイックな求道者のそれではなく、自分のなかにある趣向を躊躇なく表現する遊び心によるものだ。それはまるで、おもちゃ箱をひっくり返し、無邪気な笑みを浮かべて遊んでいる子供のようにも映るけど、そんなハドソン・モホークが生み出す音楽は「過剰」ですらある。しかしその「過剰」さは、ジャスト・ブレイズ(カニエ・ウエスト、ジェイ・Z、リル・ウェインなど)のような売れっ子プロデューサーがツイッターで本作を絶賛したように、世間ではすんなり受け入れられている。

『Butter』リリース時に、クッキーシーンのインタビューで「特にメッセージっていうようなものはないと思う」と前置きしながらも、「ただ僕が好きないろんな要素を混ぜ合わせて作った作品だし、もし何かそこから言えるとしたら、100通りの別なスタイルを混ぜ合わせたってOKなんだってことだけかな(笑)」と答えたハドソン・モホーク。「Satin Panthers」でもこの姿勢を貫き、さらなる進化を果たしている。そしてこの姿勢を貫きながら、もっともアルバムが待たれるアーティストへと成長した事実。この事実には、多くのアーティストが見習うべきものがある。「過剰」であることに躊躇する必要はないのだ。

(近藤真弥)

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