HEAVENSTAMP「Stand By You - E.P. + Remixes」EP(Warner Music)

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Heavenstamp.jpg 今や欧米では、ディスコ・パンクやニュー・レイヴなんてすっかり過去のものになってしまった感じがするけど、パンクの発展型であるハードコアが米国に飛び火して、後のUSオルタナを爆発させる礎になったように、ディスコ・パンクやニュー・レイヴも、どこかでひっそりと受け継がれていても不思議じゃない。日本発のヘヴンスタンプ(Heavenstamp)なる男女混合4人組バンドの音を聴いていると、そんな想像を膨らませてしまう。

 「Stand By You」には、ザ・ラプチャーのダンス・ミュージックを通ったパンクに、シューゲイザー的な美しい轟音、歌謡曲的と言ってもいいメロディなど、実に様々な音楽が混在している。そして面白いのは、安っぽい共感や親近感からは遠いところで音が鳴っている点だ。誤解を恐れずに言えば、ミステリアスな空気を纏ってリスナーから一定の距離を保ち、「憧れられたい」という意識が伝わってくるのだ。この意識というのは、デス・キャブ・フォー・キューティーのように、リアリティーに根ざしたインディー精神の良心を守っているバンドが世界的に注目されているなかでは、異端とも言える佇まいではないだろうか?

 もちろん90年代のバンドが持っていた感覚と態度そのものは斬新と言い切れるものじゃないが、それを意識的に取り戻そうするのは、4人なりに時代を見つめていなければできないことだ。例えば「Stand By You」も、一見普遍的で胸キュンなラブソングに聞こえるけど、聴く者の心を乱すSally Cinnamon(サリー・シナモン、Vo / G)の声が、もっと原初的な「繋がり」の地点で歌われていることに気づかせてくれる。それが得体の知れない個性として、しっかりとバンドの武器にもなっている。この「匿名性」と言ってもいい個性は、特に現在の日本ではかなり好みを分けることは否めないが、僕は大好きだ。

 ちなみにサリー・シナモンという名前は、ストーン・ローゼズのセカンド・シングルが由来だそうだ。これもひとつのメッセージになるかも知れない。

 (近藤真弥)

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