GLASVEGAS 『Euphoric///Heartbreak\\\』(Columbia / Sony)

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 彼らのファーストがリリースされたときには、ケイジャン・ダンス・パーティやレイト・オブ・ザ・ピアやフレンドリー・ファイアーズもほぼ同時期にアルバム・デビューを果たし、音楽シーンは2000年代前半に匹敵する熱狂を取り戻した。エレクトロや民族音楽を貪欲に取り入れたバンドたちがリスナーにも批評家にももてはやされたが、グラスヴェガスはかなり毛色が異なった。フィードバック・ギターの中を突き抜けてくる過剰に「泣き」の入ったヴォーカルと、ノスタルジックな光景を思い起こさせるリリック。そして彼らのサウンドのパターンはたった1種類に過ぎない。余計なギミックは何も仕込まないし、アルバムの曲はだいたい同じに聴こえる。だからこそ、彼らの個性が見事に詰め込まれたファースト・アルバムは「見事にグラスヴェガス」だったし、セカンド以降のアルバムでどのような変化を遂げるのが想像もできなかった。むしろ解散しちゃったケイジャン・ダンス・パーティのほうが、セカンドで理想的なサウンドを手にしそうな予感があった。

 結論から書くと、グラスヴェガスのセカンド・アルバムはファーストよりウェルメイドなアンセムが並ぶ、不平不満のひとつも出させないような傑作になった。ファースト・シングルとしてリリースされた「The World Is Yours」の間奏でちらりとピアノ・パートが入るところあたりは評価が分かれそうだが、わたしはこのくらい振りきれてやっているバンドのほうが好きだ。ロンドンのハイセンスな若者が好みそうなクールさは欠片もないし、オアシスのようなラッディズムもあまり感じないが、アイドルワイルドやトラヴィスを長く愛し続けるような人たちにとってはぴったりのアルバムに仕上がっていると思う。メディアが騒ぎ立てたくなるような要素はほとんどないと思っていたが、NMEが" The 50 best albums of 2011 so far "にこのアルバムを選出していた。NMEがどういう媒体かは関係なしに、こういうのは嬉しいものだ。

(長畑宏明)

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