ザ・ヴァクシーンズ『ワット・ディジュー・エクスペクト・フロム・ザ・ヴァクシーンズ?』(COLUMBIA / Sony) [reviews]

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 イギリスのメディアは、「ギター・ロック復権を象徴するバンド」みたいに騒いでるみたい(特に『NME』が)。バンドを徹底的に持ち上げて、シーンを作り上げようとするやり方は相変わらずですね、ぷぷっ。まあ、見習うべき部分もありますが。さて、このヴァクシーンズという4人組は、いい意味でそんなメディアの期待にそぐわない素晴らしいデビュー・アルバムを作り上げてきた。『ヴァクシーンズに何を期待してんの?』というアルバムタイトルも秀逸だが、主にロカビリー、ブルースの影響が窺える曲群も、グッド・メロディとロックンロールのグルーヴがうまく同居していて、リスナーの心を楽しませてくれる。特に親しみやすさすら感じるメロディは、ジェイ・ジェイ・ピストレット名義としてロンドン・フォーク・シーン界隈で活動していた、ジャスティン・ヤングのソングライティング・センスによるものだろう(ちなみに僕は、彼がジェイ・ジェイ・ピストレット名義でリリースした「Happy Birthday You EP」も持っているのだけど、これもなかなかの良盤)。

 リヴァーブが多用されたサウンド・プロダクションは、もろにチルウェイヴ、グローファイの影響を感じさせるが、イギリスにも数年遅れてそれらの要素が本格的に上陸してきたということだろう。国内盤のボートラ「We'Re Happening」の歌詞の一部を引用させてもらえば、≪俺たちこそ「今起こってる」ことなんだ≫といったフレーズがあるように、「自分達が好きなことをやる」のが姿勢。これは現在のUSインディー勢にも通じるフィロソフィーだが、ヴァクシーンズの場合、それは意識したというより、ほぼすべての新世代に共通する「趣味性の高い個人的な快楽」によるものだろう。そして、その新世代によって作られたアルバムが、全英4位という形で多くのリスナーに共有されているのはすごく興味深い。そんな『What Did You Expect From The Vaccines?』を聴くと、新しい価値観の胎動を感じる。


*インタヴュー記事はこちらに掲載されています。【編集部追記】

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このページは、伊藤英嗣が2011年6月21日 14:30に書いたブログ記事です。

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