矢野裕子

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MOTION CITY SOUNDTRACK『My Dinosaur Life』
KEN YOKOYAMA『Four』
HOLE『Nobody's Daughter』
CATHEDRAL『The Guessing Game』
筋肉少女帯『蔦からまるQの惑星』
KORN『Korn III: Remember Who You Are』*画像
BUCK-TICK『Razzle Dazzle』
磯部正文『Sign In To Disobey』
WEEZER『Hurley』
CHRISTOPHER CONLEY/MASAFUMI ISOBE/MATTHEW PRYOR『3 Way Acoustic Split』
 2010年はいろいろと忙しくなかなか余裕のない生活で、新しい音楽との出会いはとても少なかった。ここに挙げた面々も「private top10s of last decade」とそんなに代わり映えもせず、相変わらずクッキーシーンではアウェーなセレクトだなぁと思いつつも、この10枚を挙げてみました。

 新しい出会いが少なかったこと(その余裕が自分になかったこと)を残念に思う一方で、再会や再確認の多い年でもあって、この10枚は「やっぱり好きだ」と改めて思わせてくれた作品たちでもある。昔からずっと好きな人達が今も音楽を続けていて、作品を発表してライヴをやってくれる。それは素直に嬉しい。それだけで嬉しい。音楽性が変わっても変わらなくても、その音楽をやっている「人」に惚れ込んでしまえば、一途に長いこと想い続けていくのが私の性格なのだということも改めて思った。だから2010年のベストというよりは、「またこの先もよろしくお願いします」なチョイスと言えるかもしれない。
 余裕がないとレコード店で長居して音楽を探すことがなかなか出来なくなるし、雑誌やウェブで情報を得ることも出来なかったりする。それでも誰が何を出したか、どんな人達が現われたか、誰がどこに入って誰が抜けて誰が解散したとか、耳慣れないこのジャンルは何かとか、気になることはどこからともなく入ってきて、あれもこれも聴きたいのだけど時間がない。そういう時はお目当てのモノ-つまり大抵が好きな人達の新譜-を手に取って、他の作品には目もくれずレジへ直行、買い物終了、なんてパターンになる。それでも未知の音ではなくても、新しい音に触れているのには変わりなくて、慌しい毎日の中でも新鮮な驚きや感動に出会えるのは、彼らが作品を作り続けてくれているからなんだよなぁと、ふと思う瞬間があった。

 その中からKORNを画像に挙げたのは、ラウドパークで見たヘッドライナーとしてのステージがとにかく凄まじかったから。圧倒的な貫禄と存在感でこちらに迫ってくる、フェスだということを忘れるほどの強烈過ぎるステージだった。間違いなく2010年のベスト・ライヴに入るし、これまでに見た彼らのライヴの中でもベストかもしれない。へヴィ/ラウドな音楽はその特性から年齢を重ねるごとにパワーダウンしてしまうのはよくある話。見る方も全盛期を期待しなくなっていくし、それは作品にも表れる(それでも尋常じゃない存在感を放っている人が多いのがこのジャンルの面白いところ)。しかし彼らのライヴも作品も、今でも怒りと絶望に満ち溢れた負のパワー(それこそが彼らの音楽活動の源だと思う)がほとばしっていて、もうすぐ結成から20年になろうというのに、これほどのテンションを保ち続けているのには本当に驚かされる。あのライヴを見て改めてアルバムを聴いてみて、彼らの芯の強さみたいなものを再確認した。しかし彼らが勢いを失わないということは、彼らを突き動かす社会の闇や哀しみが未だ世界中に溢れていることの証でもあると思うけれど。

 そして自分でも驚いたのが、年末あたりから急にドハマリしてしまったBUCK-TICK。90年代前半まではよく聴いていたのだけれど、まさかこんなに時間が経ってまた熱心に聴くようになるとは思ってもいなかった。当時から毎回予想を遥かに超えた作品を聴かせてくれていて、子供ながらに「この人達は凄い」と思ってはいたけれど、今の彼らは気持ちよく突き抜けていてますます面白くなっている。どうしてこんなに間を空けてしまったのかと自分を呪いつつも、再び出会えたのはやはり彼らが今まで止まることなく活動を続けてくれていたからこそだし、どこでどう何を好きになるかは自分でもわからないものなのだということを実感した。離れていた時間を埋めようと過去の作品を探し歩いて(それがまた最高に楽しい)、聴けば聴くほどそのセンスや自由さに驚くばかりだけれど、でもやっぱり現在形の彼らが一番私を高揚させてくれる。

 忙しいだなんだと言いつつも、音楽がなければ毎日を乗り切れない。今はCDが売れなくなったという話も嫌というほど耳に入ってくるけど、時代を逆行しようとも私はCDやレコードが好きだし、フリーペーパーやフライヤーや雑誌が好きだ。忙しい中でも時間を見つけてレコード店に行くのがやっぱり楽しい。買うものがなかったらフライヤーをもらって帰ってくればいい。今年もまだ知らないたくさんの曲達に出会いたいし、出来るだけ多くライヴに行けたらもっと嬉しい。まぁこれは毎年同じなのですけどね。

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