長畑宏明

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ASIAN KUNG-FU GENERATION『マジックディスク』*画像
THE NATIONAL『High Violet』
ARCADE FIRE『The Suburbs』
MANIC STREET PREACHERS『Postcards From A Young Man』
KLAXONS『Surfing The Void』
CEO『White Magic』
KINGS OF LEON『Come Around Sundown』
WILD NOTHING『Gemini』
HOT CHIP『One Life Stand』
NORTHERN PORTRAIT『Criminal Art Lovers』
 いまブリティッシュ・シー・パワーの新作『Valhalla Dancehall』を聴いています。ここには確かに希望があって、それには紛れもなく自分たちが含まれているんだ、という喜びに満ち溢れている。深く長いトンネルを抜ける瞬間、その眩い光に目がくらみ、涙すら浮かんでくる。この傑作を聴いて思い出したのが2010年にリリースされたアジカンとマニックスのアルバムだ。そういえば彼らのアルバムにはBSPの新作と共鳴するメッセージが込められていた。アジカンのゴッチは「いつまで曇り空のままでいるつもりなんだ、そろそろ未来へ行こうぜ」と、ほぼアルバム全編に渡って歌い、マニックスは醒めた目ですべて物事を見てしまう風潮にクソ食らえを突きつけた。「おい、ここに転がっているのはお前たちの抱えている問題だろう?」と。一方で現実の生活に絶望してしまった者たちにとって、唯一の逃避行になるような、ドリーミーで輪郭の見えない音楽が(チル・ウェイヴとかいう名前がついた)ネットから全世界へ広がった。メジャーの力に頼らずとも様々なアーティストやバンドの独創的な「部屋」を多くの人が覗くことができる、という環境はたしかに理想的だ。しかし、それらの音楽は小さなコミュニティで消費されがちで、リアルな世界に衝撃を与えるまでには至らない。わたしだって「チル・ウェイヴ」と呼ばれる界隈で好きなバンドはいくつもいるし、もしかしたらこのリストに入っているワイルド・ナッシングもそうなのかもしれない。しかし、それでもわたしはアジカンやマニックス、クラクソンズが示したメッセージに強く共感するし、そこに立ち向かっていく勇気はやはり賞賛すべきなのだ。

 もうひとつ。メイン・ストリームとカウンター・カルチャーによって巻き起こる「うねり」をわたしはもう一度体験したい。だから2010年代のメイン・ストリーム(そんな概念はナンセンスだって? だからこそ!)になるであろうキングス・オブ・レオンのアルバムをみんなには聴いて欲しい。かつて片田舎から出てきたむさ苦しい髭のバンド・マンたちが、カントリーとゴスペルとロックを完璧に自分たちのものにして、それを堂々と鳴らしている。あれは「The End」の最初のバスドラですべて決まったようなもんだった。

 こういう思いで作ったリストです。あ、ノーザン・ポートレイトのアルバムはまさに「紙曲たち」です。全曲好きです。是非。

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