佐藤雅哉

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片山ブレイカーズ&ザ☆ロケンローパーティ『サカサマデアル』
WORLD'S END GIRLFRIEND『Seven Idiots』
住所不定無職『ベイビー! キミのビートルズはボク!!!』*画像
LILLIES AND REMAINS『Meru』
ANDYMORI『ファンファーレと熱狂』
くるり『言葉にならない、笑顔をみせてくれよ』
ARCADE FIRE『Suburbs』
BIG TROUBLES『Worry』
ARIEL PINK'S HAUNTED GRAFFITI『Before Today』
WARPAINT『The Fool』
 あるディケイドの始まり、という気分がこちらに在ることも、作用しているのだろうか。2010年は、邦楽、洋楽ともに刺激的な作品が多かった。

 洋楽では、所謂「ニューゲイズ」(これ、流石にダサいよな......)と呼称されるバンド群のなかでも、マイブラ的なものを真正面から解釈し、且つ、US的な骨太さを加えたサウンドが魅力的なビッグ・トラブルズ。よりドリーミンなポップネスを武器にしたザ・エックスエックスと呼ぶだけでは足りない、独特の世界観を持つウォーペイントなどが大きな収穫。

 一方、邦楽は、動(『ワルツを踊れ』)から静(『言葉にならない、笑顔をみせてくれよ』)へと、そのスタイルを揺り戻すことで、同時にバンドとしてのアイデンティティをも再構築した感があるくるりに、いちファンとして興奮を覚えた。片山ブレイカーズの新譜も良かった。『サカサマデアル』というサイケな(サカサマ、を、デアル、と強く肯定し放っておく凄まじさ)タイトルとはまさしく「サカサマ」に、彼らの魅力である「アヤカシ的」なポスト・パンク性を、よりすっきりと無駄なく聴かせてくれた。何度でもおかわり可能な佳作。

 若手では、リリーズ・アンド・リメインズが、『Moralist S.S.』のラスト・ナンバーで垣間見せていた壮大さを、前面に押し出し、ユニークな発展を遂げた。アンディモリのフル・アルバムは、単純な気分で聴きたい作品。

 しかし、個人的に一番注目したいバンドは住所不定無職だ。

 彼女達のキモは、世のスカしたリバイバル・バンド達とは一線を画す、とても日本的な「カラオケ」ノリに在る。「I Wanna Be Your Beatles」や「あ・い・つ・はファニーボーイ」のように、一緒に歌いたくなる曲もあれば、いかにもクラスの女子が気取って歌っていそうな「オーマイゴット! マイガール!」のような曲もある。代表曲「あの娘のaiko」の内容が、「ツンデレ同士の恋愛(?)模様を、カラオケ文化を通して描く(この曲の主人公は、アイコの曲そのものではなく「あの娘が歌うアイコ」にどうしようもなく心を揺さぶられている)」というものであることは、いかにも象徴的である。

 今年1月に出た新譜『Jakajaaaaan!!!!!』は、色々なところで話題を呼んでいるとか。住所不定無職、今年中の大躍進もある、かもしれない。いや、あってほしいなあ。

(佐藤雅哉)
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