TAPE『Revelationes』(Hapna)

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tape.jpg ストックホルムの音響トリオによる5枚目のアルバムが、同じくスウェーデンのHapnaよりリリース。テープと日本との関連といえば、テニスコーツの名盤『タンタン・テラピー』のプロデュースが真っ先に挙げられる(演奏の安定感も抜群であった)。彼らを看板バンドとするHapnaもまた、日本人アーティストの角田俊也氏をレーベルにおける最初のリリースとしているあたり、日本との接点は多いようだ。
 
 三人のメンバーの内、ヨハン・バットリングとトーマス・ハロンステンはジャズ界隈を出自としている。残るアンドレアス・バットリングもまた、ジャズ的な語彙は備えているに違いない。こういったポスト・ロックは「ジャジー」という表現で括られる傾向があるが、「ジャズ」と「ジャジー」は、ニュアンスからして似て非なるものだ。たとえば往々にして、前者はインタープレイ・ライクで内省的な音像がイメージされ、後者は繊細なアルペジオや軽妙なテンション・コードなどをイメージするものであろう。また、スタンダードなジャズは、ジャジーなポスト・ロックのように、同じフレーズを延々とループすることを好まない。息づかいを感じる距離での、いわばアドリブ合戦であって、「平坦なループによって得られるカタルシス」は、ジャズの文脈には縁遠い。
 
 そのため、ジャズを出自とするプレイヤーがポスト・ロックへ転身するということは、培ってきた蓄えでもって飛躍(博打?)してしまうような、「だ、大丈夫なの?」といったはらはら感を伴っているものだと思う。そりゃ、アカデミックでテクニカルな演奏ができるのにもかかわらず、人力ループに徹するなんてことは、とてもクールである裏腹、抑制された本人はジレンマに駆られることだってあるだろう。テープの生楽器(特にドラムス)は、本当に「ジャズ出自」を思わせる叩き方と鳴り方であって、「ジャジー」を起点としたアーティストとは全く異なる、説得力のある楽器隊だ。中空を舞うような電子音も、添える程度に制されているのが良い。
 
 前作『ルミナリウム』での、浮遊感ある電子音がたゆたいながら、フリーキーな演奏を繰り返し演奏するようなエクスペリメンタルさは剥落した。本盤『リベレイションズ(天啓とでも解釈できるか)』では、トータスあたりが時折覗かせるような不穏な空気は纏わず、もっと素直に気持ちの良い音を鳴らすだけ鳴らしている。どちらかといえば、タウン・アンド・カントリーなどの清涼感を想起させる。災害時、日本政府はスウェーデンからの支援要請を一度断ったようであるが、お願いだから来日公演してくれないかな。

(楓屋)

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