スーパーカー『RE:SUPERCAR 1-redesigned by nakamura koji-』(KRE)

supercar.jpg 4月20日にリリースされたこの『RE:SUPERCAR 1-redesigned by nakamura koji-』に続き、6月15日には『RE:SUPERCAR 2-redesigned by nakamura koji-』がリリースされる。そして、ナカコー、フルカワミキ、田渕ひさ子、牛尾憲輔(agraph)から成るLAMAが結成された。ここにきてスーパーカー関連の動きが活発になってきている。今作は、ナカコーが『スリーアウトチェンジ』『JUMP UP』『OOYeah!!』『OOKeah!!』からセレクトした楽曲を「リデザイン」したものと、既発、未発表曲のデモ集が収められている。
 
 スーパーカー名義では、解散後初となるこの新しいマテリアルに対する捉え方は、おそらく二分される。97年にデビューし、日本ののちのロックシーンに大きな爪痕を残したスーパーカーの音を、リアルタイムで体験、共有してきた世代と、先駆者として、これから新しくスーパーカーを聴くことになる者。後者にとっては 、原曲とバージョンが異なるとはいえ、前期の彼らの楽曲を纏めて知ることができるきっかけとして、このアルバムを手に取る方たちもいるのかもしれない。
 
 ベストではなくナカコーが手を加えることによる作用、そして果たして「リデザイン(再構築)」とは?特に前述した、既にスーパーカーを知り、当時それぞれの形で彼らの音楽に想いを重ねてきた方たちは、そんな期待と疑問が入り混じった複雑な感情を多かれ少なかれ抱えながら、アルバムを耳にすることになるのでは ないだろうか。結果、ナカコーのとったリデザインの形とは、スーパーカーの魅力の1つであるメロディを主軸に据えさせたまま、エレクトロ寄りのサウンドでコラージュされたものであった。且つそれは曲間をCDJのそれのように繋げられていることで、統一感が意図的に演出されているといえる。バンドサウンドと異なるアレン ジでも、揺らぐことなく瑞々しい輝きを放ち続けるメロディは、スーパーカーを初めて知る方たちにとっても新鮮に響くだろう。音のアプローチ、統一感という意味ではiLLの『Dead Wonderland』に共通するものを感じたりもして、ナカコーらしさが見てとれる。このナカコーの趣向を、「スーパーカーの作品として」どう評価するかは、作品の完成度云々ではなく、スーパーカーというバンドに対する個人的感情に依る部分もあるだろう。
 
 興味深かったのがDISC2の、既発、未発表曲デモ集である。途中でカットされたり断片的なものも多いが、40曲ものデモ音源により、彼らの当時の空気を感じることができる資料的作品として楽しむことができる。だがそれよりも特筆するべきことは別にある。ナカコーはスーパーカー初期の頃から「スーパーカーは僕の一 部に過ぎない」といった旨の発言をしていた。その発言でうかがえるような様々な音楽性を孕んだ楽曲を、当時からスーパーカーとしても残していたということである。「I wanna stay」の前半部分ではスワンズにも通じるようなジャンクさ加減が強烈だし、その他にも、初期の頃からクラウト・ロックに影響されたようなアプローチを行っていたことも見受けられる。この期に及んでスーパーカーの音楽的な懐の深さを思い知るとは想像していなかった。改めて、いかに彼らが当時のシーンにおいてオーバー グラウンドでありながら先鋭的な存在だったかがわかる。

(藤田聡)

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