せっかく原稿がいくつか届いていたのに、更新がすっかり滞っていたこのコーナー。執筆者の方々には恐縮ですが、このタイミングで一気に掲載させていただきます。なにとぞご了承ください。
で、最初に紹介するのは矢部友宏さんによる、2月26日に大阪IMPホールで催されたMGMTのライブ・レポートです。といっても、単なるレポではないのはタイトルを見れば一目瞭然。
僕は残念ながらMGMTのライブをお目にかかれたことがないのですが、体験した知人友人から感想を聞くかぎりでも極端に賛否両論に分かれる印象です。「ふつうにカッコいい!」という意見もあれば「かわいそうだから無理にライブすることないのでは?」という人まで。アルバムの評判は皆さんおおむね良好なだけに、面白い傾向だなー、と。
矢部さんの文章を読んでなんとなく思い出したのは、アニマル・コレクティヴの2008年来日公演(僕が行ったのは3/18のリキッドルーム、蛇足だけどこのときのライブは正直退屈だった...)がおわったあと、バンドのお気に入りということで当時まだ日本で無名に近かったMGMTの一曲(「Time To Pretend」)入りCD-Rが観客に配られていたことと、日本では昨年5月に公開されたガールズ青春映画『ローラーガールズ・ダイアリー』劇中の一番アガる場面で「Kids」が効果的に(もっといえばかなり"ベタ"に)用いられていたことでしょうか。
いやいや、たしかに短期間のあいだに有名になるというのは本当に難しいことです。バンドにとってもファンにとっても。すごくエキサイトしますけどね。
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僕は彼らのライブは初めて参戦したのだが、そこで身を持って体感したことはMGMTは深刻なジレンマを抱えたバンドだということだ。彼らの抱えるジレンマとはサイケロックバンドでありながら、ダンスバンドだと勘違いされていることだ。勘違いされているならまだしも、「Kids」を始めクラブサウンド以外の曲は聴く気がない。むしろ演奏妨害まがいのことをされているのだ。
今回のLiveはMGMT=エレクトロというレッテルを剥がすかのようなライブであった。つまり彼らのサイケ色を前面に押し出すライブを敢行したのだ。一曲目からいきなり「Siberianbreaks」を彼らは演奏した。それだけではない。彼らはライブの中盤から終盤にかけてジャムセッションをし、自分達はサイケロックバンドだと何度も訴えかけようとしているようだった。それもそのはずで今回のライブではクラブノリで「Kids」待ちのようなファンが多く見受けらた。今回のライブでは外人が多く、飲食禁止なのにコーラやチューハイをがぶ飲みしてるという者さえいた。バンド側が集中して演奏をしている「Siberianbreaks」の時、バンドに向かってヤジを飛ばす等、大声で喋る等マナーを疑うファンもいた。
MGMTはそんなファンに自分達の音楽に気づいて欲しくて、もしかしたら突き放すように彼らの期待を外すようなことをやっているのだろうか。実際にMGMTは雑誌のインタビューでもダンスバンドに勘違いされていることに嫌気がさすと言っていた。僕はその光景を見てMGMTのジレンマを体感し、自分達を一躍時代の寵児に押し上げた「Kids」が生み出したファンに演奏を妨害されるという皮肉も感じた。
しかし悲しいことばかりではなかった。「Kids」の最中にメンバーがファンサービスをしていたのだ。
それは今の状況を受け入れるだけの気持ちの余裕がバンド側にはあるのだという事が分かった。彼らの抱えるジレンマは深刻であるが、誤解が解けるのは3rdまで持ち越すことになりそうだ。
最後に文章の補足の為に今回のセットリストを掲載しておく。
1.Siberian Breaks
2.Time To Pretend
3.The Youth
4.Flash Delirium
5.Weekend Wars
6.I Found A Whistle
7.Song For Dan Treacy
8.Of Moons, Birds & Monsters
9.Electric Feel
10.It's Working
11.Future Reflections
12.The Handshake
13.Destrokk
14.Kids
15.Congratulations
16.Pieces Of What
17.Brian Eno
