ALL TINY CREATURES『Harbors』(Hometapes)

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All-Tiny-Creatures.jpg これだけカラフルでハッピーな音楽を、ヒゲだらけのお兄さん方に演奏されては堪らない。オール・タイニー・クリーチャーズは、ペレを前身バンドとするコレクションズ・オブ・コロニーズ・オブ・ビーズ(CoCoB)や、ヴォルケーノ・クワイアーなどで活躍している、トーマス・ウィンセクが率いる新たなバンド。本盤が1stフルアルバムとなる。ゲスト参加しているヒゲだらけのお兄さん方は、ボン・イヴェールことジャスティン・ヴァーノン(ヴォルケーノ・クワイアー繋がり)、プレフューズ73との親交が深いヘラド・ネグロことロバート・カルロス・ラング、メガファウン(ジャスティン・ヴァーノン繋がりであろう)と、親交のある者同士である。そのためか、アルバム全体を通して開放的で颯爽としており、良い意味で肩の力が抜けているようにも思える。
 
 アルバム前半は、トライバルなリズムが軽快に駆け回り、ミニマルな反復からじわじわと清々しさや多幸感といったカタルシスが得られる。幾重ものコーラスに覆われたウィスパー・ヴォーカルがポップに漂う。後半へ進むにつれて、徐々にビートが薄まり、反比例するようにサイケデリックなアンビエンスが噴出し始める。踊れるトライバル・ビートは消え、ずぶずぶとサイケな世界へ溺れていく。
 
 この一連の流れが、実に違和感なく紡がれている。ハッピーな雰囲気が、緩やかにサイケデリックでトランシーになっていく様は、非の打ちどころがないくらい見事である。また、本盤の主軸となるのは、終始印象的に響いている、プリミティブで生々しいドラムの音であると思うのだが、だからこそその主軸が後半に霧消してしまうことで、深いところに引きずり込まれてしまうような、サイケデリックの妙に溺れられるのだろう。楽器の鳴り方も電子音の配置も、クールでインテリジェンスな配慮と調和が施されている。50分程度の、あっという間の白昼夢である。

(楓屋)

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