2562『Fever』(When In Doubt)

|

2562.jpg 2562ことデイヴ・ハウスマンズは、とある雑誌のインタビューで、尊敬するアーティストとしてマラやシャックルトン等の名を挙げていた。理由は、これらのアーティストはトレンドに左右されずに、自分の音を生み出したからだそうだ。そしてデイヴ・ハウスマンズも、トレンドに左右されない一貫とした音作りの美学を持っている。しかし同時に優れた柔軟性を持ち合わせており、だからこそ『Fever』という様々な音楽が交差し混じり合ったアルバムを完成させることができたのだろう。

 デイヴ・ハウスマンズは、2562のほかにも様々な名義を持っている。ア・メイド・アップ・サウンド名義では、強い影響を受けたと公言するデトロイト・テクノ色が濃い作品をドイツの〈フィルポット〉からリリースしているし、ドッグデイズ名義では、〈フライン・ハイ〉からヒップ・ホップ・トラックをリリースしている。こうした幅広い音楽性を持ち合わせているデイヴの本領は、『Aerial』や『Unbalance』 でも十分発揮されていたが、『Fever』はそれをさらに押し進めたような印象がある。前2作は「ダブステップをやる2562」という分けた感じが残っていたけど、『Fever』ではデイヴが普段好んで聴いているファンクやソウル、それから今まで以上にデトロイト・テクノ的な音とアグレッシブさが前面に出ている。重たいリズムとメランコリーはあるけども、それ以上に汗をかいて笑顔で踊っている姿が目に浮かぶ、聴いていて楽しいアルバムとなっている。特に「This Is Hardcore」以降の流れは、ジャンルなど関係ない純粋な音楽へと変貌を遂げていく過程が鳴らされているようで、本当に素晴らしい。デイヴ・ハウスマンズが、また一歩ジャンルやトレンドに囚われない存在へと近づいたことを証明する一枚だ。

(近藤真弥)

retweet