WE ARE ENFANT TERRIBLE『Explicit Pictures』(Last Gang)

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we_are_enfant_terrible.jpg 皆さんつまみフェチですか? 唐突で申し訳ないですが、僕はつまみフェチです。例えば、TB-303という機材をいじっているとき。レゾナンスをかけて音をビキビキさせていくときの高揚感はたまりません。それからDJをやるときも、デリック・メイになりきりEQを大胆に使って音を変化させるのも大好き。ジェフ・ミルズのように繊細なタッチで微調整していくのもストイックでカッコいいけど、僕はつまみをひねった瞬間にエフェクトがかかって、お客さんが「ウォー!」と歓声を上げる場面を見ると、どうしてもニンマリしてしまう。つまみだけじゃなく、楽器に触れたことがある人なら誰もが経験しているあの興奮。適当にギターを弾いていたら、偶然カッコいいリフが弾けて「俺天才!」みたいな。これを「初期衝動」という人もいるけど、ウィー・アー・エンファント・テリブルのデビューアルバム『Explicit Pictures』には、そんな瑞々しい姿が刻まれている。

「我々は恐るべき子供」と名乗るこのフランス発の3ピースバンドは、ガレージや8ビットにニュー・エレクトロ、引き合いに出せるバンドとしては、ザ・ラプチャーやヤー・ヤー・ヤーズだろうか? そしてその名の通り、ウィー・アー・エンファント・テリブルが出す音は子供じみている。もちろんこれは褒め言葉だ。人にもよるだろうけど、子供というのは基本的に暴れたくて仕方がないものだ。それは「大人になる」という過程で植えつけられる抑圧などが行き届いていないからだと思うけど、このバンドはかなり奔放な存在感を放っている。ライブではゲームボーイを使って生演奏してみたり、ドラムにいたっては座って演奏することがほとんどない。抑え切れない衝動に突き動かされるように、だんだん腰が浮いていく様子は観ていて笑えたし、なぜか痛快ですらあった。

『Explicit Pictures』の前には3枚のEPがリリースされているが、『Explicit Pictures』とEP群に大きな変化の差はない。まあ、多少は幅広さが備わっているが、ジャンクな感覚で好きなことを混ぜ合わせたごった煮ロックである。正直、演奏が上手いわけでもないし、フランスといえばフェニックスを思い浮かべる人もいるだろうけど、彼等と違ってウィー・アー・エンファント・テリブルは、野蛮でスマートとは言えない。じゃあ、ウィー・アー・エンファント・テリブルの魅力は何なのかというと、それはアティチュードとしてのロックンロールをやっていることだ。

 音としては、「ロックンロール」と聞いて大半の人が思い浮かべるような、ギターがガンガン鳴っているようなものではない。しかし、「楽しいからやっている」という感覚と共に、意味がないようでいて皮肉が効いている歌詞(特に「Filthy Love」は意外とキツい内容に思える)から覗かせる鋭い視点は、現代の本質を射抜くかのようだ。僕にとってのロックンロールは意識的か否かは問わず、いかに時代を見抜いているかが重要だったりするけど、ウィー・アー・エンファント・テリブルは、現代の本質に近いところで音を鳴らしているのは確かだと思う。

 一聴した感じはチャカポコとしたヘンテコな音だが、騙されてはいけない。彼らにとってのファーストアルバム『Explicit Pictures』には、恐るべき子供の本性が隠されている。

(近藤真弥)

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