VARIOUS ARTISTS『部屋、音楽が溶けて』(P*dis)

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heya.jpg 本盤は、西荻窪に実店舗を構えるセレクトCDショップ『雨と休日』の店主、寺田俊彦氏の選曲によるコンピレーション・アルバムである。『雨と休日』の名前は、Twitterでも、近頃見かけるようになりつつある。実店舗の端的な詳細を記しておくと、「穏やかな音楽」というコンセプトを掲げており、ビル・エヴァンスやステファン・グラッペリなどのジャズに始まり、ゴールドムンドなどのポスト・クラシカル、小瀬村晶などの日本のエレクトロニカ、ブリティッシュ・フォーク、聞いたこともないアンビエントのアーティスト...、文字通り、ジャンルレスに良盤が集められている(先日レヴューされていたインドネシアのアーティスト、アディティア・ソフィアンのアルバムもあったはず)。箱庭のような内装が実に素敵で、独占欲に似た「好きすぎて、あまり人に知られて欲しくない」という衝動に駆られてしまう。
 
 店主の解説曰く「中低音域をメインに使った曲」のみを集めたアルバムだそうで、全曲インストで成り立っており、中心となる楽器はアコースティック・ギターとピアノ。アーティストは、坂ノ下典正、青木隼人、paniyolo、Balmorheaなどの木漏れ日フォーク勢、小瀬村晶、haruka nakamura、Brian McBride(ドローン系のユニット、Stars of the Lidの一人)、Peter Broderickなどのアンビエントやエレクトロニカ勢、Dakota SuiteやOlafur Arnaldsなどのエクスペリメンタル勢など、ふり幅は大きいが、確かに似た音域の音楽が集められただけあり、不思議な統一感がある。おすすめはイノセンス・ミッションのギタリスト、ドン・ペリスのソロ名義での曲。
 
 部屋でアルバムを最初から通して聴くと、音楽が部屋に馴染み始め、鳴っている感覚が失われ、そこで初めて「部屋が溶ける」というフレーズが生まれたのだと言う。日常に音楽が密接しているようで、凄くいい。

(楓屋)

*3月24日リリース予定です。【編集部追記】

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