THE HUMAN LEAGUE『Credo』(Ais)

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human_league.jpg イアン・クレイグ・マーシュとマーティン・ウェアという二人のコンピューター技師と、当時整形外科病院に働いていたフィル・オーキーの3人で始まったヒューマン・リーグ。それが1977年のことだから、今年で34年目になるわけだけど、変わってない。なんというか、「ヒューマン・リーグ」という言葉を聞いて思い浮かべる音がそのまんま鳴っている。確かに、昔の美しい姿と厚化粧はもうない。フィル・オーキーは海老蔵みたいな丸坊主になっているし、スーザンとジョアンヌも若作りに勤しんでいるおばさんに見えなくもない。でも、『Credo』にはあの声がある。フィルの女を口説くような歌声と、お世辞にも上手とは言えない女性コーラス。それだけで僕は、『Credo』というアルバムを好きにならずにはいられない。

 内容としては、これぞヒューマン・リーグというエレ・ポップが詰まったものとなっている。既に数多くのリミックスが作られている「Night People」や「Never Let Me Go」も良いが、個人的にはTB-303風の音が鳴っているアシッド・ディスコ・ソング「Electric Shock」が最高だ。初期のような実験的エレ・ポップもありながら、ここまでアグレッシヴなアルバムを作ってくるとは、正直想像できなかった。前述したように、34年目になる大ベテランがここまでエネルギーに溢れているとは...。やはりそれは、自分達がエレ・ポップの先駆者であるという自信が源になっているのだと思う。自分達のキャリアに誇りを持ち、それをまざまざと見せつけてくるような迫力がある。

 ヒューマン・リーグというのは、一種の芸だ。クラフトワークもそうだけど、ステージに4人立っている姿も含めてクラフトワークなのであって、ヒューマン・リーグもフィルだけでは駄目なのだ。横には必ず微妙な踊りをするスーザンとジョアンヌが必要で、その踊りすらもヒューマン・リーグたらしめているのだ。そうしたヴィジュアルも音楽としたコンセプトは今も見受けられるし、それは現在もヒューマン・リーグという芸は有効であることを証明している。もっと言えば、今あるすべてのポップ・ミュージックは、ヒューマン・リーグの影響下にあるということだ。だからこそ、昔から変わらないヒューマン・リーグの『Credo(信条)』が、ここまで心に響くのかも知れない。そして、キャッチーなエレ・ポップとコンセプトを貫き通す力強さと度胸があるヒューマン・リーグ。そんなヒューマン・リーグが、僕は大好きだ。

(近藤真弥)

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