THE DODOS『No Color』

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dodos.jpg 並外れたテクニックで1曲1曲に膨大な量の情報を詰め込み、その一方で耳にすんなりしみこむメロディが鳴っている。混沌と素朴の同居――00年代中期より活動しているフォーク・デュオ、ザ・ドードースの魅力はそこにあると僕は感じている。

 その点において、08年の2nd『Visiter』で彼らはひとつの頂点を極めた。だが、翌年早くもリリースされた『Time To Die』で失速。ザ・シンズやバンド・オブ・ホーセズを手がけたフィル・エクをプロデューサーに迎え、聴きやすさとメロディを徹底的に磨き上げ、ヴィブラフォン奏者をメンバーに加えて音の厚みを増してみたものの、お行儀良く型にはまったサウンドは彼らの魅力を殺してしまっていた。
 
 それから3年。スタジオセッションを繰り返し、『Visiter』のプロデューサー(ジョン・アスキュー)と再びタッグを組み、ニーコ・ケースがコーラスで前面参加した『No Color』は快哉を叫ぶべき作品となった。

 叩きつけるような力強さで刻む西アフリカ風のビートが徐々に加速していくオープニングの「Black Night」から一部の隙もないアルバムの完成度が伺える。ニーコのコーラスと流麗なヴァイオリンが彩りを添える「Sleep」や、アンセミックなリフを備えた「Don't Try And Hide It」など、続くトラックも充実している。この2人には洗練なんかいらない。生のダイナミズムが必要だったのだ。『Time To Die』を経て辿り着いたこの作品でしみじみそう思う。シーンなんか気にせず、スタイルを貫いて欲しい。彼らが拠点とするサンフランシスコは、グレイトフル・デッドの時代からガールズが活躍する現在まで、独自のスタンスを持つバンドを育んできた地なのだから。

(角田仁志)

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