NOAH AND THE WHALE『Last Night On Earth』(Island / Mercury)

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noah.jpg 08年の1st『Peaceful,The World Lays Me Down』は、レディオヘッドの『Pablo Honey』のようなものじゃないか、としみじみ思う。

 デビューから間もないころのノア・アンド・ザ・ホエールはUKアンタイ・フォークの中心としてメディアにかつぎ上げられた。しかし、バンドの中心人物チャーリー・フィンクは恋人ローラ・マーリングとの別れで悲しみの底へ深く沈みこむ。傷心の結果作られたのが、09年の2nd『First Days Of Spring』だ。そこで鳴らされていたのは力なき独白と洗練されたメロディ。以前の面影を一切残さない音楽性の変化と格段のクオリティの向上にただただ驚いた。

 その後、絶望の向こうに彼らは何を描くことが出来るのか? その答えがこのアルバムだ。『地球最後の夜』――。SF映画を思わせる仰々しいタイトルだが、このアルバムのテーマは何度も繰り返される「LIFE」。前作とは打って変わりはつらつとした歌声と、気高いゴスペルのコーラス、エレクトロやグロッケンシュピールにヴァイオリンなどを導入し清涼感のあるサウンド、ロックを取り込み獲得したダイナミズムと力強さ・・・。フォークバンドだったころの面影は微塵もない。リスナーが感じるのは、たくましい生命力だ。このアルバムの制作に当たって影響を受けたとチャーリー・フィンクが公言するのは、トム・ウェイツやトム・ペティ、ジェネシスなど。複雑ながら独自のスタンスで生き抜いてきた先達の音楽に触れ、チャーリーが選んだのは、生きることだったのだろう。

 フジでの初来日が決定したが、今の彼ら以上に、地震で落ち込んでいる日本に生命の息吹を吹き込むのに相応しいアクトはいないはずだ。どのようなステージになるのか、今から楽しみでならない。

(角田仁志)

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