I'll Be Your Mirror at 新木場Studio Coast 2011/2/27

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 祝!I'll Be Your MIrror開催。発表された時から、錚々たるラインアップに心が震えた。ゴッドスピード・ユー! ブラック・エンペラー、ファック・ボタンズ、ダーティ・スリー、そして国内からはボアダムス、灰野敬二、ボリス等々。こんなにすごいバンドばかりが同じ日に、同じステージに上がるなんて。中でも僕はボアダムスと灰野敬二に注目。同じ国内にいながら、なかなかライヴに行くチャンスがなかったから絶好の機会だと思った。当日は快晴。暖かいくらいの陽気に、ますますテンションが上がる! 新木場に急がなくちゃ。


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 会場の新木場Studio Coastは、メインとなるステージ1と屋外に設置されたキャパ(たぶん)200~300人くらいのステージ2というレイアウト。屋外のDJコーナー、一息つけるシネマブースも設置されている。シネマブースでは、本家『All Tomorrow's Parties』のドキュメンタリーやスパイク・ジョーンズの『I'm Here』、ルイス・ブニュエルとサルバドール・ダリの『アンダルシアの犬』などが上映されていた。以前、僕が見に行ったスピッツ主催の"新木場サンセット"というイベントとステージ構成は同じ。音楽性と客層は全然違うけれど。

 開始予定時刻の14時半を少し過ぎた頃、ボアダムスのライヴでいよいよ"
I'll Be Your MIrror"がスタート! これから先も続くであろう(続いて欲しい!)新たなフェスの誕生を祝うかのような素晴らしい幕開け。6ドラムス+1EYEという編成(図1参照)を目にした時の観客のどよめきが本当に最高だった。天井からスクリーンが吊り下げられている。ステージを真上から撮影しながら、そこに映像を投射するという仕掛け。普段は水平にしか見られないステージを真上からも見る。動ける範囲が限定されたドラムの特性を逆手に取ったアイデアは、視覚的インパクトも充分。"視点を変える/視点を交差させる"という発想が最高!


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 円陣を組んだ6人が叩き出すビートは、どこまでもトライバルでポップ。そこにEYEが自由自在に操るフリー・スタイルのヴォーカルとノイズ/ベース音をコラージュしたサウンドが交わってゆく。ハッピーに気が狂った司祭を思わせるEYEの動きに、エフェクトとライティングが見事にシンクロしている。モーション・センサーを駆使して自分自身を楽器にするEYEと6ドラムスのカラフルなサウンド! 人力ならではの強弱のあるアタックと微妙なタイム感の差異。スネアとシンバルの波に身を委ね、バスドラに震える。ステージとスクリーンを目に焼き付ける。ドラムって楽しい! ノイズってキモチE! 踊るのって最高! そう思わせながらも、やっぱりどこか不穏だし。鮮やかな虹の中に、漆黒や血の赤が混ざっているようなサウンド。本当にあっという間の1時間だった。

 ボリスを数曲見てからステージ2に向かうと、灰野敬二はすでに入場規制。外のフードエリアで知り合いとおしゃべりしていても、お互いの声が聞き取れないほどの轟音! いつかちゃんと見に行くための心構えができた。その後、僕はオートラックスとファック・ボタンズを見るためにステージ1に戻る。でも、オートラックスの出演前までに、ステージ進行が50分も遅れていた。そのことが気になり始めていた矢先、彼らのステージがまさかの時間短縮。これは本当に残念だった。正直に言って、この瞬間はかなり興ざめ。ファック・ボタンズの演奏中もあれこれ考えてしまった。


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 さて、気を取り直して...。続いてはダーティ・スリーが登場! バイオリン担当のウォーレン・エリスは、ニック・ケイヴがバッド・シーズに続いて率いるグラインダーマンにも参加している。通訳をはさみつつのMCは和みオヤジ系。でも3人が鳴らすサウンドは、砂嵐の舞う荒野を思わせる。真夜中の風のように、孤独な叫び声のようにバイオリンとギターが響いていた。

 そして、いよいよ最後はゴッドスピード・ユー!ブラック・エンペラー。バイオリンとチェロ、3本のギターとベースが織りなす緻密なアンサンブルに会場全体が息を呑む。リズムは想像していた以上にパーカッシヴ。迷宮を思わせる長尺の曲にも豊かな起伏を添える。プロジェクターに映し出されるフィルム・コラージュ、そして静寂と轟音がひとつになって僕たちを容赦なく飲み込んでゆく。1曲の演奏が終わるたびに、大きな大きな拍手が響き渡っていた。それは期待を遥かに超える彼らのストイックな演奏に対する、僕たちからのリスペクト。本当に素晴らしいライヴだった。コンスタントな活動再開に期待!


photo003.jpg ステージ進行の遅れ、ステージ2の入場規制、想定以上だったかもしれない音量(みんな、耳は大丈夫だった?)、煙草とお酒のマナー等々、今後の課題は色々あると思う。でも今、僕の心に残っているのは出演したバンドが見せてくれた最高のライヴ・パフォーマンスばかり。何度も心を動かされ、何度も全身の鳥肌が立ったよ。"IBYM"は本家ATPの運営方針(ノー・スポンサーと最高のキュレーション)を受け継ぐフェスとして、これから日本にも定着して欲しい。そして、できれば東京以外での開催もよろしく! 僕は心から、そう願っている。




*(関連記事)ATP NY2010 レポート対談はこちらに掲載されています。【編集部追記】

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