ミュー『エッグス・アー・ファニー』(Evil Office / Sony Music)

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mew.jpg とにかくミューというバンドは何て器用なんだろう。今までに5枚のアルバムをリリースし(日本ではサード以降の3枚)、メンバー脱退もありながら徐々にまた順調に成長してきたミュー。14年間の総括となる。これは一つの区切りでもあるだろう。常に違う色のアルバムを出してきた彼らだが、これがまたよく上手くまとめられている。4枚目のアルバムだけは全体が繋がっている為あまり選曲に入っていないものの、フォースはそれだけで素晴らしいので併せて聴いてほしい(今作では別れて入っているのが惜しい!)。それ以外の部分となると、このアルバムに顕著な通り実験性の強いポップ・バンドであり、個々それぞれが主役になれるバンドだ。日本未発表と新曲で3曲また新しいミューが聴ける上、これまでの曲たちもまるでライヴを体験しているかのように、セットリストとあまり変わらないセレクトが成されている。これだけで一つのアルバムとしての完成度が非常に高いという点は、驚かされるばかりだ。新曲は「イントロデューシング・パレス・プレイヤーズ」に近いギターの効いた曲に仕上がっている。最初に「アム・アイ・ライ?・ノー」、最後に「コンフォーティング・サウンズ」というところも、ミューの原点が『フレンジャーズ』にあることを感じさせられた。

 一方DVDの方はというと、これはこれで幼い頃の古い貴重な映像や手の込んだ最近の映像まで、お気に入りの黒い服装で存分に楽しめる一品。動物好きな彼らならではの見所もあればアニメに強い彼らの見所もある。国内盤のみでリリースされた曲もあり、また「パンダ」や「ミカ」などの映像はここでしか見られないだろう。総括的に言えばこれも一つの軌跡である。例えばデンマークでベスト・シンガー賞を受賞した直後に作ったヴィデオが「ザ・ズーキーパーズ・ボーイ」。シンガーとして、バンドとしての一面を前面に出している。顔をフィーチャーしたフォース・アルバムからは「ホワイ・アー・ユー・ルッキング・グレイヴ?」が収録。表情から見て取れる彼らがわかるだろう。そんな風にベスト盤CDもDVDも付いた大きな作品。ここからまた次の彼らが待っている。

(吉川裕里子)

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