BO NINGEN『ボー・ニンゲン(棒人間)』(Stolen / Knew Noise Recordings)

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bo-ningen.jpg BO-NINGEN(棒人間)。我々人間が自らを「人間」とすると、なぜかドキリとする。それとも、この「棒」という単語が曲者で、無機質な「棒」という単語と、血肉が通ってこそ生きている「人間」という考えから、相反するそれが並ぶ事で「死」を連想してしまったりして、ドキリとしてしまうのだろうか。

 いずれにしても、BO-NINGEN(棒人間)と名乗る、この日本人の四人組は、活動の拠点をUKに持ち、ザ・ホラーズのお気に入りであったり、各地で精力的なライブをこなす事で話題を振りまき、このデビューアルバムが届くまでには、ここ日本よりも海外での認知度を高めていったようだ(それにしても、海外で人気の日本人バンドとは日本での認知度は低いというのは、世の常だろうか。)
 
 その見た目は1970年代から飛び出してきたような時代錯誤(失礼承知で言うならば)な長髪とファッションというのは、ヴィジュアル系がウケてると聞く海外の好みから言えば少なからず要素の一つだろう。海外を拠点にしながらも、詩の99%を日本語で歌う事はその場所で活動を続ける彼らを特徴付ける要素でもあるだろし、そんな日本語を楽しんでいるようにも思える。彼らは、「koroshitai kimochi」と曲のタイトルにつけ、「殺したい気持ち」という殺伐とし気分をアルファベットを並べて中和しているようだ。また、そんな言葉をはきだす歌い方も特徴的で、(急にこんな事を言えば的外れかもしれないが)僕は、「北斗の拳」を思い出してしまう。ケンシロウが一子相伝の北斗神拳をもって、アベシ! と言わせるあれだ。「あたたたた!」と北斗百列拳を繰り出すケンシロウのようなあの甲高い声が、ところどころでシャウトされ、僕は思わずにんまりしてしまう。実にこれがいいスパイスになっている。こう言うとまるで「イロモノ」だが、ブラック・サバス直径のようなギター・リフに、展開はプログレッシブ・ロックという様は、一筋縄ではいかない。全体を通して、サイケデリックな音使いではあるが、今まで語った要素を足してみると、「サイケデリック」という言葉は、「おどろおどろしい」という言葉にも置き換えられる気がする。日本語、アニメ、おどろおどろしい。実に彼らは日本的である。そんなバンドが海外で活躍しているのなら、とても喜ばしい事だ。
 
 ところで、偶然なのか必然なのか「人間」と名乗る、とあるバンドを思い出す。かつて、一世風靡した番組、イカすバンド天国出身のバンド、人間椅子である。その「椅子」という無機質な物体と「人間」という単語を組み合わせるセンスもさる事ながら、上記にあげたサウンド面の特徴とは、ほとんど人間椅子にも当てはまる。そして、BO-NINGEN(棒人間)が海外で日本語を歌うように、青森出身の人間椅子は東京の地で津軽弁を交えた歌を歌う。もしかしたら、この精神こそ、両者の共通項の根源なのかもしれない。それにしても、かつてはねずみ男の衣装にまで身を包んだ人間椅子とは、あの時代には早すぎた存在だったのかなと、BO-NINGEN(棒人間)の活動を見ながら思い、そして、少し悔やむ。「BO-NINGEN(棒人間)よ、人間椅子のためにも頑張ってくれ!!」と言ったら、いまだ現役の人間椅子に怒られてしまうだろうか。

(佐藤奨作)

*日本盤は4月6日リリース予定です。【編集部追記】

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