ザ・ゴー!チーム at Heaven(in LONDON) 2011/2/8(現地時間)

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 トラファルガー広場やバッキンガム宮殿など、ロンドンの中でも特に有名な観光スポットが存在するウェンストミンスター。その最寄りの駅であり、ロンドン中心部の鉄道ターミナル、チャリング・クロスの高架下にあるのが「HEAVEN」だ。ここはロンドンでも最も有名なゲイ・クラブで、曜日によってはノンケでも入場できる。最近は名所化し、普通のライヴも行なわれているのでアブナイ雰囲気は皆無。階段を下りて地下の入口を抜けると、恵比寿リキッド・ルームほどの広さのフロアに、すでに満員近いオーディエンスがひきしめあっていた。天井はとても高く、左右にぶら下げられた巨大なスピーカーからは下腹部を突くような低音がドーン、ドーンと鳴り響いている。サウンド・クオリティは申し分ないので、かなりの爆音だったが耳に障るような周波数はほとんど出ていなかった。
 
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 今夜はここで、ザ・ゴー!チームのサード・アルバム、Rolling Blackoutsのリリースを記念したワンマン・ライヴが行なわれる。ファンに混じって業界人やアーティストもちらほら。フロア横のバーカウンターでは、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのケヴィン・シールズの姿もあった(彼は以前、ザ・ゴー!チームの楽曲をマッシュアップした「Huddle Flash」をリリースしている)。
 
 空いているスペースを縫うようにして何とか前の方をキープするが22時を過ぎてメンバーが登場する頃には超満員に。1曲目はオールド・スクールなヒップホップを彷彿させる「T.O.R.N.A.D.O.」。最新作の冒頭を飾るナンバーでもあり、フロアはあっという間に熱狂に包まれた。その、余りにも激しい歓迎には本人たちも驚いたようで、リード・ヴォーカリストのニンジャは目を丸くし、ゲラゲラ笑いながら「ちょっと、前の方大丈夫? ちゃんと踊るスペースある?」と声をかけている。その後もレア・グルーヴな「The Power Is On」、まるで刑事ドラマ『太陽に吠えろ!』を彷彿させる哀愁のファンク・ナンバー「Bust-Out Brigade」と、ダンス・チューンを畳み掛けるように繰り出しオーディエンスを煽りまくった。
 
 かと思いきや、ツチダ・カオリ(ギター、ヴォーカル、その他)がリード・ヴォーカルを務める"モータウン・ミーツ・ピチカート・ファイヴ"なポップ・チューン「Secretary Song」(アルバムではディアフーフのサトミ・マツザキがゲスト・ヴォーカル参加)では、"渋谷系"もビックリのメジャー・セヴンス・コード&メジャー・ナインス・コードの応酬でフロアに爽やかな風を送り込む。また、フランス・ギャルを彷彿させるキュートな「Ready To Go Steady」では、カイ・フカミ・テイラー(ドラム)がまるでアイドルのようにスタンドマイクで歌う。黒髪・長髪の彼女はイギリス男子からの人気が最も高く、あちこちから「コンニチワ~」「アイ・ラヴ・ユー!」と声援が上がっていた。
 
 それにしても、見れば見るほどユニークなバンドである。日本人女子がリズム隊で、白人男子が上モノ、そこに黒人女子のヴォーカルが乗っかる編成なんて、他にはなかなか見当たらないだろう。カオリがキーボードやサンプラー、ギター、ベースと持ち替えながら司令塔のようにキビキビと動き回り、サム・ドゥーク(ギター)とジェイミー・ベル(ベース)がそれをサポート。決して技術的に長けているわけでもなく、むしろバシャバシャとしたパンキッシュな演奏が、すし詰めのロンドン子たちを熱狂させ、踊らせているのだから痛快だ。「ファンクやヒップホップのグルーヴは黒人にしか出せないし、日本人が他の国の人々を踊らせるなんてムリ」なんて常套句が、いかにテキトーで偏見に満ちたものであるかは彼女たちのライヴを観ればよく分かるだろう。
 
 ステージ中盤、60年代サイケデリアとフィリー・ソウルがミックスされた、『Thunder, Lightning, Strike』収録の名曲「Lady Flash」が演奏されると、コーダ部分の「Yeah yeah yeah yeah, yeah」で大合唱。演奏が終わってもオーディエンスのリフレインは止まず、それに合わせて再びバンドが演奏を始める感動的な一幕も。ザ・ゴー!チームは、紛れもなく最高のパーティー・バンドだ。
 

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