楓屋

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RYAN FRANCESCONI『Parables』*画像
RYAN FRANCESCONI & KANE MATHIS『Songs From The Cedar House』
ADMIRAL RADLEY『I Heart California』
BONNIE "PRINCE" BILLY『The Wonder Show of the World』
THE BOOKS『The Way Out』
D_RRADIO『Parts』
FLECKFUMIE『Young Life』
GOLDMUND『Famous Places』
THE MORNING BENDERS『Big Echo』
SUN KIL MOON『Admiral Fell Promises』





 2010年は、クッキーシーンのコントリビューターを務めさせていただいたこともあり、昨年までと比べて、実に多くのアルバムと出会った。吹けば飛ぶようなコントリビューターではあるが、「色々聴かねば...!」という意識も働いたのかもしれない。
 
 聴いてきたアルバムが多いと、トップ10を定めるのは難しいし、流動的だ。来週にはブロークン・ソーシャル・シーン辺りが食い込んでいるかもしれない。そのため上記の10枚は、楓屋にとっての暫定的なトップ10であると同時に、「これは凄く面白い!」という強烈なインパクトを与えてもらった10枚でもあるようにセレクトした。
 
 衝撃の強さで比較するなら、ライアン・フランチェスコーニは圧倒的に今年最高のアーティストであった。アコースティックギター一本で、彼は詩人にも劇作家にも画家にもなれる。クッキーシーン的なアーティストではないが(そうゆう括りもどうかと思うが)、戦々恐々しつつお勧めしたい。D_Rradioの『Parts』もまた、アルバム一つで物語を形作るという点では、同様に抜群のセンスを誇っていた。ドローン、アンビエント系ではD_Rradioが唯一無二だった印象。
 
 モーニング・ベンダーズは楽器群の輪郭がふわふわしているのにも関わらず、ギターのリフが一つ入るだけで、途端にタイトになり安定感を得てしまうところが面白い。サンシャイン・ポップの旨みが存分に詰まっている。若いのに恐れ入った。ブックスから受けたインパクトはモーニング・ベンダーズとは対照的で、「奇抜な方向へシフトしたなぁ」とかなり驚いたものである。小さな音が囁き合うような、フォークトロニカ系の音楽性から大きく逸れて、アブストラクトで強烈なビートとサンプリングが駆け巡っている。フォークトロニカの小さな箱から突き破ったような意欲作だろう。
 
 サン・キル・ムーン、ボニー"プリンス"ビリー、ゴールドムンドは、いずれもノスタルジーな音楽であるが、共通して美しいアルバムではないと思う。こういったアルバムに対して、アルペジオやピアノの音色を美しいと表現するのは、なにか変な感じがする。三者は美しいアルバムを作ろうとは、おそらく思っていない。むしろ荒廃した、スモーキーな印象すら漂う。アキラ・コセムラ、ハルカ・ナカムラ辺りの新作は、いわゆる美しいアルバムなのであろうが、彼らとゴールドムンドを同じ枠組みにカテゴライズするのは、違和感を抱く。
 
 批判で終わってしまうのもあれなので、最後に、12月にリリースされたフレックフミエの新作。年の瀬に素晴らしいアルバムと出会えたことに感謝。万人におすすめしたいアルバムとして、これを挙げようと思う。

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