青野圭祐

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ASIAN KUNG-FU GENERATION『マジックディスク』*画像
SUPERCHUNK『Majesty Shredding』
スピッツ『とげまる』
KLAXONS『Surfing The Void』
VAMPIRE WEEKEND『Contra』
MGMT『Congratulations』
THE POSIES『Blood/Candy』
EXLOVERS『Exlovers』
MOTION CITY SOUNDTRACK『My Dinosaur Life』
TWO DOOR CINEMA CLUB『Tourist History』





 既に2月になってしまいましたが、皆様、明けましておめでとうございます。今年も何卒よろしくお願い致します。

 さて、2010年のプライヴェート・ベスト企画。僕はサウンドと個人や時代へのハマり具合、そして「2010年にその盤が出る意義」を基準に、この10枚を選盤しました。ジャケット掲載の1枚は迷う事無く、アジアン・カンフー・ジェネレーション『マジックディスク』を。このアルバムのレヴューにも書かせて頂きましたが、2010年はそれまでの'00sという内省の自室から抜け出て、社会に、世界にコミットしていく動きが目立った時代でした。その時代の空気を誰よりも明確に鳴らし、喚起と歓喜を呼び起こした彼らの歌はこの年の1枚にふさわしいと僕は思います。

 では、そんな僕たちが向かった先はどこだったのでしょうか。その一つの答えは、海、もう少し言うなれば、「波のある場所」でしょう。クラクソンズは(日本語に直訳すると)『虚無を波乗り』というアルバムをリリースし、MGMT『Congratulations』のジャケットもサーフィン。この10枚には選出しませんでしたが、ザ・ドラムス、ウェーヴス、ベスト・コーストといった期待の新人たちもサーフィン、あるいは海、浜辺を想起させるイメージを感じさせてくれました。ここでの海や波とは、言うまでもなく、混沌たる社会あるいは世界であり、サーフィンとは、僕たちがそんな秩序の見えない波に乗っていくこと、社会にコミットしていくことを指しています。自室を飛び出し、「波のある場所」でもまれながらも、その波に乗ること。これこそ2010年の大きなテーマの一つと言えるでしょう。

 最後に、触れていなかったアルバムについて、少しずつ紹介致します。スーパーチャンクは、約10年の長い沈黙があったことなど全く感じさせないほどの、文句無しに「彼ららしい」大傑作を作り上げてしまいました。このアルバムもジャケットをよく見ると浜辺ですね。スピッツ『とげまる』もまた、『ハヤブサ』以降の新しい空気と『ハチミツ』や『フェイクファー』といった中期を思わせるテイストに最上の背徳の香りを加え、これを待っていた! と言わせんばかりの「彼ららしい」傑作でした。ヴァンパイア・ウィークエンドは言うまでもなく、2010年に入ってまもなくの僕たちの指針として、様々な方法を提示してくれましたし、ポウジーズやモーション・シティ・サウンドトラックもブランクや衰えなど一切感じさせない躍動する音で僕たちを魅了しました。エクラヴァーズ(直訳すると元恋人たち)は「君はそんなに簡単に忘れるんだ」というリード・トラックとともに洗練されたPVを見せてくれました。バンド名や曲名など含め、新人でここまでの完成度の高い世界観を提示してくれるバンドもそういないでしょう。ツー・ドア・シネマ・クラブは、注目される機会がそれほど多くない北アイルランドからの新たな使者。どのバンドも注目し続けないと、ですね。

 僕たちの波乗りは続きます。さて、2011年の波は僕たちをどこに連れて行ってくれるのでしょう。不安と共に確かな期待を抱きつつ。

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