横井岳志

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IAIN MATTHEWS『Afterwords』
LAURA MARLING『I Speak Because I Can』
JOSH ROUSE『El Turista』*画像
JAKOB DYLAN『Women And Country』
BRIAN WILSON『Reimagines Gershwin』
MARY CHAPIN CARPENTER『The Age Of Miracles』
HAYLEY SALES『When The Bird Became A Book』
THE INNOCENCE MISSION『My Room In The Trees』
ELTON JOHN & LEON RUSSELL『The Union』
THE LIVING SISTERS『Love To Live』






 ベテラン・アーティストの中で特に印象に残ったのがイアン・マシューズ(Iain Matthews)の充実振り。『Afterwords』はオランダのジャズ・ピアニスト、エグバート・デリックス(Egbert Derix)との共演によるライブ・アルバム。1曲目「Joy Mining」を聴いただけで一気に引き込まれてしまった。マイナー調の魅力的なメロディの曲でIainは情感たっぷりに歌い上げている。こんな傑作アルバムがオランダ国内のみのリリースというのは本当に残念(イアン・マシューズのオフィシャルサイト経由で購入可能)。イアンはマシューズ・サザン・コンフォート名義での新作も発表しておりこちらも素晴らしい。ブライアン・ウィルソンも元気に充実した作品を発表、ガーシュインの未発表曲に手を加えて完成させた「The Like In I Love You」、そして「'S Wonderful」のアレンジに抜群のセンスを感じる。エルトン・ジョン&レオン・ラッセルも良かった。二人の稀代のミュージシャンの個性の融合、それを演出するTボーン・バーネットのプロデュースの見事さに感心。

 若手アーティストで最も注目しているのが英国の女性シンガー・ソングライター、ローラ・マーリング。1枚目はレコード会社の意向を反映したのかちょっとポップな曲作りだったが、この2作目では自分がやりたいことを思いっきりやり切った感じ。アンドリュー・バードほかコラボしているミュージシャンも魅力的だし、なにより歌の力に圧倒される。この他の女性シンガーでは、安定感ある充実した作品を発表したメアリー・チェイピン・カーペンター、透明感溢れるイノセンス・ミッション、レトロな装いのコーラスを聴かせてくれたザ・リヴィング・シスターズ、そしてヘイリー・セールズ(Hayley Sales)にも抜群の才能を感じた。

 ジョシュ・ロウズ(Josh Rouse)は日本での知名度は低いがとても魅力的なアーティストだ。しなやかな感性の持ち主で、米国から欧州へと旅をしながら様々な音楽を吸収しアルバムごとに進化している。今回の『El Turista』はブラジル音楽にインスパイアされた作品。ジェイコブ・ディランもやはりただ者ではない。リック・ルービン・プロデュースによるソロ1作目も良かったけど、このTボーン・バーネットによる温かみのある南部系のサウンドは皆が待ち望んでいたものではないだろうか。バンド形式のウォールフラワーズも良かったけど、並外れた個性を持っている人なので、やはりソロで活躍してほしい人だ。

(横井岳志)

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