小出雄司

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NO AGE『Everything In Between』*画像
DEERHUNTER『Halcyon Digest』
THE TAMBORINES『Camera & Tremor』
SAD DAY FOR PUPPETS『Pale Silver & Shiny Gold』
CROCODILES『Sleep Forever』
MICHAEL JACKSON『Michael』
BUBBLEGUM LEMONADE「Caroline's Radio」EP
The VASELINES『Sex With An X』
エレファントカシマシ『悪魔のささやき〜そして、心に火を灯す旅〜』
フラワーカンパニーズ『チェスト!チェスト!チェスト!』





 大学を卒業して、2年間勤めていた会社を一身上の都合で退社。僕の2010年の幕開けはこのようにして始まった。一度、何もかもを失ってしまったとも言える状況で、立ち寄った本屋で目に飛び込んできたのは「さようなら2000年代」という言葉。自分が唯一リアルタイムで通過し、様々な思想や経験を得たひとつの時代(One Decade)が終わりを告げていた。その見出しに衝撃を受けると共に、新しい時代の訪れに期待に胸が膨らんでいたのもまた事実。僕はその雑誌を手に取り、しばらく与えられた余暇を2000年代の遺産を再度学習することに費やした。

 そんな中、「これぞ2010年代を牽引するサウンドだ!」と感じるものが耳に飛び込んできた。「Glitter」である。ノー・エイジがホームページ上で、無料ダウンロードで提供していたこの曲。重ためのビートに被さるように、幾重にも重なるノイズギター。言葉にすると単なる2000年代後半以降の常套手段なのかもしれない。ただこの曲には色彩を感じる。単純に景色が鮮明に浮かぶというだけではなく、新しい夜明けを華やかに色付けている。胸騒ぎにも似てる印象的なドラムビートに、未知なる可能性を感じた。

 ベテランの底力を改めて感じる機会も多かった。まずはマイケル・ジャクソンの『Michael』には心底驚かされた。亡くなった後の、ある種未発表曲の寄せ集め的なアルバムと言っていい今作には「マイケルが本当に歌っているのか」という疑惑の声が上がったらしいが、一聴すれば僕にとってそれは蛇足なものに思えた。マイケルが歌っているのかどうかの事実は僕にはわからないが、残された人々のマイケルに対する愛を充分に感じることができる。亡くなっても未だ影響力を放つことのできるマイケルの存在に感動すら覚えた。

 日本のアーティストも負けてはいない。エレファントカシマシ、フラワーカンパニーズ、次点にはなるが、斉藤和義、the pillows等、40代を迎えているアーティストの活躍から目が離せない。一度は不遇とも言える時期を乗り越え(しかもマイペースに)、独自のポジションを確立していく彼等。まさに「継続は力なり」という言葉を体現しているだけに、言葉ひとつひとつに説得力があって、ストレートに勇気づけられることも非常に多い。これからも彼等の活躍の場が増えることを祈るばかりだ。

 個人的に2010年で密かに再結成ブームは終焉を迎えるんじゃないかと思っている。音楽史は20年周期で巡っているという自論を基に考察すれば、90年代に活躍したアーティストの再結成は、2010年代の音楽基盤の構築に過ぎないとすら思える。ここからまたどんな音が鳴らされて、どんな場所で響くことになるのか。新しい歴史の目撃者に、僕はなりたい。

(小出雄司)
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