ECHO LAKE『Young Silence』(No Pain In Pop)

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echo_lake.jpg シューゲイザーを鳴らすバンドは今までも数多く出てきた。「マイブラを連想させる」「初期ライドのようだ」。こういう枕詞もうんざりするほど見てきた。このロンドン出身の新進バンド、エコー・レイクの音もマイブラであり、初期ライドそのままだ。ネオ・サイケの影響が出ているし、ひたすら甘く憂鬱なメロディを奏でている。

 前述したように、エコー・レイクはシューゲイズ・サウンドを鳴らしている。何を歌っているのか分からないヴォーカル。力強いとはいえない全体のグルーヴ。そして甘美なサイケデリック・サウンド。どれをとってもシューゲイザーそのものだし、はっきり言って革新的なサウンドとは言い難い。でも、『Young Silence』にはしっかりエコー・レイクとしての音が鳴っている。それは、エコー・レイクが吟味を重ねたうえで、こうしたサウンドを選んだからだろう。過去に登場したマイブラ・フォロワーバンドの多くが、メディアの比較論(もちろん、その比較対象はマイブラだ)から逃れるため無理やり差別化を図ろうとした結果、どっちつかずの凡庸なアルバムを残してフェードアウトしていった。しかし、エコー・レイクの音からはそうした差別化を図る無理な努力は感じられないし、寧ろ諦念に近い「これが好きなんです」が感じられる。

 僕にとってジーザス・アンド・メリーチェインは、カッコよくヴェルヴェット・アンダーグラウンドを出来た唯一の存在だ。実際ヴェルヴェッツからの影響を公言していたし、『Psychocandy』リリース時のジム・リードはこう語っている。

「"Cut Dead"は、とてもとてもヴェルヴェッツっぽい。だけど、それがどうしたっていうんだい? なぜそれがいけないんだい?」

 まあ、エコー・レイクの面々がこうしたことを実際に言うかは分からないけれど(アーティスト写真を見るかぎり、そんなことを言うような人達じゃないと思う)、マイブラっぽい音であることは全然悪いことじゃないと思う。僕から言わせれば、エコー・レイクはカッコよくマイ・ブラッディ・ヴァレンタインを出来たバンドだし、そうした影響元を隠さずに、それらの要素を上手く自分達のサウンドとして転化させている。

 ここで、先程引用したジム・リードの発言の続きを書いておこう。

「じゃあ"In A Hole"の場合はどんな風に聴こえる? あのサウンドは僕の考えうるいかなるバンドとも似ていないよ」

 この「In A Hole」にあたるのが、『Young Silence』においては「Buried At Sea」であり「Sunday Evening」だ。そして「Cut Dead」にあたるのが、「Everything Is Real」や 「Memory Lapses」といったところか。この2曲は『Loveless』の影響が色濃く出ている。エコー・レイクの未来はこれからだが、まずは『Young Silence』という魔法にかかってみてほしい。それはそれは素晴らしい桃源郷が待っている。少し俗っぽいところもある桃源郷だが、それがまた最高なのだ。

(近藤真弥)

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