クラウド・ナッシングス『クラウド・ナッシングス』(Carpark / Hostess)

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cloud_nothings.jpg いやあ、痛快! バズコックスやザ・ゲット・アップ・キッズ、アッシュにティーンエイジ・ファンクラブ、はたまたブリンク182なんかを思わせるようなメロディ――それがあまりにキャッチーでポップなのだから。パワー・ポップでローファイで、パンク。何より、キッズが盛り上がれる音楽を、19歳の少年が作っているということが何より、いい。

 クリーヴランドに住む大学生ディラン・バルディ。サックスを専攻する彼が、自己満足のため家の地下室で始めたレコーディング・プロジェクトがこのクラウド・ナッシングスだ。現在は3人のメンバーを率いるディラン少年が、ネットに楽曲をアップするとまたたたく間に注目が集まり、その後カセットや7インチ、CD-Rなどで音源を大量にリリース。それらのシングルやEPはコンパイルされ、昨年アルバム『Turning On』として発表され多くのインディ・ファンを熱狂させ続けている。結果、ピッチフォークの読者投票による2011年の注目新人(「Best Hope For 2011」)の4位にランクインするほど期待を集めてきた。

 そして、『Turning On』から1年もおかずに届けられたこの作品が、彼ら初となるオリジナル・アルバムだ。とはいえ、ローファイぶりは一切変わらない。地下室からバルチモアのスタジオへ、完全な我流からプロデューサー(ダン・ディーコンを手がけたチェスター・グウェッズダ)の監修を受け、という変化はあったものの、演奏は驚くほどラフ。まるで

 音から若い勢いが透けて見えるようだ。だが、何よりメロディがいい。3分にも満たない楽曲のなかでジェットコースターのように急上昇と急降下を繰り返すスリル。そこにコーラスやギターのフレーズでこれでもか、というほどフックを作り出している。19歳の若さを最大限に活かした勢いと瑞々しさ、一切計算のない無垢さがリスナーをとりこにし、この28分にも満たないアルバムをリピートされる。

 幼いころにはビートルズやコステロを聞きあさったというディランくん、彼のソングライティング能力と速さはしばらく落ちることは無いだろう。はやくも次のアルバムへの計画も進めているようだし、今後も大量に楽曲をリリースすることは間違いない。ネイサン・ウィリアムスやブラッドフォード・コックスのように、常に新曲を届けてくれる存在になってくれるよう見守ろうじゃないか。

(角田仁志)

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