ダフト・パンク『トロン:レガシー』(Disney / Disney)

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 1982年のSF映画『トロン』。電脳世界を描いた、ある意味早すぎるプロットの導入で知られている。ちなみに数年後に制作された円谷プロの特撮テレビ番組『グリッドマン』のアイディア/基本プロットの源流とも思われるのだが、『グリッドマン』でさえ「時代の先を行きすぎていた」ものだけに、『トロン』がいかに「早すぎた」か、わかってもらえるだろう(ただ、『トロン』もマイナーだけど『グリッドマン』もマイナーだからなあ:笑)。インターネットが普通のものとなった...30年前にはSFの世界でしかありえなかった世界が現実となった今、かつては「B級」の一言で片づけられていたその映画の28年ぶりの続編『トロン:レガシー』を、ディズニーが制作することも、まあうなずける行為だ。

 特撮ファンである筆者は是非見たい映画であるけれど、まだ行けずにいる。そんな自分がなぜこのサウンドトラック盤のレヴューを? といえば、大好きなダフト・パンクが音楽を担当しているから。

 ストリングスなどをポップに大量導入していた『Discovery』(2001年)から、次作の『Human After All』(2005年)では一転してエレクトロニック・ミュージックの骨格のみというパンキッシュな作風にふれただけに、当然ストリングスが大量導入されるであろうサウンドトラック盤がどのようなものになるのか? どきどきしつつ購入し、聴いてみた。

 結果から言えば、その期待が裏切られることはなかった。聴きこむうちにおもしろさがつのる...にしても、やはり「サウンドトラック盤」の域は超えていないというか、彼らの「(ダフト・)パンク」な部分にとりわけ興味をひかれる筆者としては、正直肩すかしを食らった気分ではある。

 『Discovery』の最も深い部分にあるコンセプトにのっとって松本零士をフィーチャー、『インターステラ5555』を作った(それについては、クッキーシーン・ムック第一弾にも掲載したインタヴュー原稿でくわしくふれたので、どうかご参照いただければ、と...)という地点から、「音楽と他メディアの関係」については少々後退してしまったようだ。いや、だから「ああ、サウンドトラックだな...」という作品になっているということは、「映像と混ざれば素晴らしいだろうな...」「映像がほしい(映像が見たい)」と感じてしまったわけであり、音楽が「負けて」いる? いや彼らは「やるべきこと」をきっちりと、それも並ではないクオリティーでやった。文句を言われる筋合いはない、とは思うけど(笑)。

 ダフト・パンクは仕事...宿題(彼らの1997年のデビュー・アルバムのタイトルが『Homework』だったことを思いだす...)をやりとげた。この『Tron: Legacy』の展開で、次のオリジナル・アルバムがますます楽しみになったことは間違いない。

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