ザ・ゴー!チーム『ローリング・ブラックアウト』(Memphis Industries / Avex Trax)

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 今考えても、デビュー作『サンダー・ライトニング・ストライク』の衝撃は凄まじかった。ザ・ゴー!チームの天衣無縫な音楽性と個性を鮮烈に印象付けたのだから。サンプリングを多用した何でもアリなビートに、60'sポップやヒップホップなどを加えてにぎやかなトラックに仕上げ、そして、ニンジャのアクの強いラップが曲のインパクトを倍増される。彼ら以外には作りえないトラック群には度肝を抜かれた。ソニック・ユースmeetsジャクソン5という例えも、突拍子もない組み合わせでありながら、何とうまく彼らを言い表したものだろう、と思ってしまう。その後、セカンド『プルーフ・オブ・ユース』では黒いグルーヴを全面的に導入し、バンドのポテンシャルの高さを見せ付けた(そういえば、パブリック・エネミーのチャック・Dも参加していたなあ)。

 だが、この3作目でも僕らに予想以上の驚きをもたらしてくれるとは! ロックにファンクにクラシックなポップ、ヒップ・ホップ、はたまたJ-POPまで・・・縦横無尽に他ジャンルを横断するにぎやかさは健在。しかもメロディの自由度は一層増しているようだ。特筆すべきが豪華なゲスト・ヴォーカリスト陣。ベスト・コーストのベサニーやディアフーフのサトミ、元ボンヂ・ド・ホレのマリナ、タンパの新人ラッパーDominique Young Uniqueなど、実に個性豊かな面々が揃っている。更に、各人のためにアレンジされたのでは? と思うほど、トラックと彼らの相性がいい。特に、「Buy Nothing Day」は本人との共作では?と思えるほど、ベスト・コースト風の甘いメロディが印象的だ。

 だが、その一方でザ・ゴー!・チームを特徴付けていたニンジャのラップが消えている。収録曲中、彼女だけがマイクを握るトラックはオープニングの「T.O.R.N.A.D.O」くらい。その上で、聴けば一発で彼らとわかる、ファンキーでハッピーなヴァイブがいたるところからあふれ出す。自らのトレード・マークを1つ捨てたにも拘らず、DIY精神を貫く彼らのコアは一切ぶれていない。そこにただただ驚かされる。

 ジャケット通り、想起するのは各トラックごとにまったく別の風景。中心人物イアン・パートンは映画から曲のインスパイアを得るというが、だとしたられほどカラフルな映像を網膜の裏側に映し出すアルバムもないだろう。このアルバムをひっさげて、どれだけのパフォーマンスをするのか、何としても見てみたい。

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