スクール・オブ・セヴン・ベルズ at 渋谷WWW 2010/12/7

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photo by Takanori Kuroda

 今年セカンド・アルバムDisconnect From Desireをリリースしたスクール・オブ・セヴン・ベルズ(以下、SVIIB)の単独来日公演が発表されたのが、今年の10月頃。それから半月も経たぬうちに、双子姉妹の片割れであるクラウディア・デヘザの脱退が発表されたときの衝撃は、今でも忘れられない。SVIIBといえば、双子の美人姉妹がステージに並んだときのヴィジュアル・インパクトと、彼女たちの一糸乱れぬコーラス・ワークこそが最も重要なセールス・ポイントと言っても過言ではなかったはずだ。今年に入ってから、ライヴではサポート・ドラマーのShigetoを迎え、かなりダイナミックなステージングになったとのウワサを聞いていたものの、この突然の"事件"は衝撃的だったし、何よりバンドとしての存続すら気がかりだった。2008年末の初来日ギグや、2009年のサマー・ソニック、そして2009年末Nightmare Before Christmas(イギリスで毎年開催される、All Tomorrow's Partiesのスピンオフ企画)と、これまで3回彼らのライヴを観てきた筆者としては、今回のライヴで確かめたかったことは2つ。1つはサポート・ドラマーを迎えた彼らの、ライヴ・バンドとしての実力。そしてもう1つは、ベンジャミン・カーティスとアレハンドラ・デヘザの2人組となった彼らの、バントとしての今後の可能性である。
 
 今回、ライヴ会場として選ばれたのは渋谷WWW先日閉館したシネマ・ライズの跡地に出来た新しいイヴェント・スペースで、これまでにBorisやトクマルシューゴなどがライヴを行ない、いずれも好評を博していた。確かに、階段状のフロアなど映画館の構造をそのまま活かすなど、後方からでもステージが見やすくなるような工夫が施されていたり、音響システムにもかなりこだわりを感じられたりと、これまでのライヴ・ハウスとはひと味違った印象だ。そのオリジナリティ故に相性の合うライヴ・アクトを選びそうだが、SVIIBのようなバンドにはうってつけだったように思う。

 
Sviib_2.jpg photo by Takanori Kuroda
 
 およそ20分押しでメンバーが登場。客席から見て右手にベンジャミン、中央がアレハンドラ、右後方にドラマーShigetoという配置である。ベンジャミンとアレハンドラはギターを抱え、おもむろにフィードバックを鳴らし始めると、それに応えてShigetoがシンバルを連打し、アンビエントな空間を作り出していく。およそ5分ほどだろうか。焦らしに焦らしたウォーミングアップ後、1曲目の「Half Asleep」でライヴがスタートした。この曲はファースト・アルバム『Alpinismsの中でも最もポップで人気が高く、デヘザ姉妹のハーモニーが印象的なナンバーである。それだけにアレハンドラが歌い出した瞬間、思わず「うっ」と声が出てしまうほどの違和感があったことは否めない。この曲や、本日最後に演奏した「My Cabal」のような、どちらか1本が主旋律というわけでなく、2つの声が混じり合って1つのメロディを作るようなタイプの曲は、"クラウディアの不在感"を強烈に感じてしまう。そんなわけでライヴが始まってしばらくは、この違和感がどうにも気になってしまい、ついつい頭の中でクラウディアのパートを補完しながら聴いてしまっている自分に思わず苦笑する、という場面が度々あった。

photo by Takanori Kuroda 
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 しかし、ライヴが進んでいくに連れて、そんな自分の感覚は少しずつ消えていく。ヴォーカルが1本になったぶん、かえってメロディが太く伝わってくる曲も多かったし(実際『Disconnect From Desire』収録曲は、主旋律が1本で成り立っている曲が多いため、ハモリがなくても余り違和感がないのだろう)、曲によってはギターを持たず、まるで手話のようなジェスチャーを交えながら歌うなど(「Dust Devil」)、アレハンドラの"リード・ヴォーカリストとしての自覚"も以前よりずっと強くなっているように思う。中でも「Babelonia」や「I L U」は、言葉の1つ1つを確かめるように歌う姿がとても印象的だった。一方ベンジャミンも、以前のライヴでは姉妹の後ろに引っ込んでアンビエントなフィードバック・ノイズを鳴らすようなスタイルが多かったのだが、今回はエッジの効いたカッティングからシューゲイジングなノイズ・ギター、ときにはハード・ロックばりのソロまで披露し、"SVIIBサウンドの要としての存在感"を強く打ち出していた(髪をリーゼントにしてイケメン度もアップ!)。コーラスも所々で試みていたが、今後、ベンジャミンのコーラス・パートをもっと増やしていけば、さらに立体的なサウンドになっていくことだろう。そして、特筆すべきはShigetoのドラムだ。「Heart Is Strange」での疾走感あふれる8ビートから、「Windstorm」での重戦車のような重たいグルーヴまで自在にこなし、打ち込みトラックとの相性もバッチリだった。そう、"クラウディアの不在"を埋めようと、メンバーそれぞれが自分たちの持ち得る力を120パーセント出し切ることによって、奇しくもライヴ・バンドとしてSVIIBは新たに生まれ変わったのである。
 
 アンコールは、デビュー時からの定番レパートリーである「Sempiternal / Amaranth」。この10分越えのサイケデリック・ナンバーも、ベンジャミンのヘヴィーなギター・ソロやShigetoの緩急自在なドラミングによって、これまでとは比べ物にならないほどアグレッシヴな楽曲に進化していた。
 
 デビュー2年目にして大きなものを失ってしまったSVIIBしかし彼らは、すでに新しい"何か"を掴みかけている。今回のライヴを観て、筆者はそう確信した。
 

セットリスト

1.Half Asleep
2.Babelonia
3.Heart Is Strange
4.Joviann
5.Dust Devil
6.Bye Bye Bye
7.Windstorm
8.I L U
9.My Cabal
10.Sempiternal / Amaranth(アンコール)

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